内容説明
大阪でトクダシ・ストリッパーから体験談を聞き、愛敬芸術と呼ばれる香具師の口上を採録し、ホモ・セクシュアルと芸の関係を考察する。歴史をさかのぼり被差別芸能民に思いを寄せ、精神医学の文献を渉猟し芸とセックスの接点を探究して、芸能の原点に迫る。猥雑さのなかに生きる人間の真実を迫った、著者若き日の渾身のルポ。
目次
1 はだかの周辺(前説・ウレシイ大阪;トクダシ・ストリップについての考察;外人ヌードとは何たるかについて ほか)
2 愛敬芸術(大道物売りの口上について;香具師の芸は“愛敬芸術”と呼ばれる;見世物口上・採録;演歌・えんか・艶歌―ならびにえんか師について;のろいの芸―ながし;ハマの弁天小僧=幕間風にあるいはブリッジとして)
3 ホモセクシュアルについての学習(ホモセクシュアルへの好奇心をなぜ持つか;GAY入門;ホモセクシュアルをさぐる)
著者等紹介
小沢昭一[オザワショウイチ]
1929年東京に生まれる。49年俳優座養成所入所。52年早稲田大学文学部仏文科卒業。舞台、映画、テレビ、ラジオで活躍するかたわら、60年代後半より日本の放浪芸の調査に携わる。82年劇団「しゃぼん玉座」を結成、主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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鉄之助
186
俳優=ワザオギと、色を売る=アヅナヒの関係。「芸(ゲイ=ホモセクシュアル)は身を助く」の歴史的考察など。「小沢昭一的世界」が繰り広げられる。香具師(てきや)の啖呵売(たんかばい)、見世物口上の採録が貴重な資料となっている。2024/07/17
chanvesa
26
タンカ売の蛇屋のおじさんと小沢さんの対談(157頁~)は雲行きがだんだんおかしくなっていってスリリングだ。小沢さんは押されぎみになっていくが、二代目・小沢さんであれば、どのように対峙し、かわしていったか。そして「も一つヨイショ‼」(399頁~)はいろんな意味で考えさせられる。本当の練達は、たいこもちのヨイショに乗らずにお座敷芸のプロの前で素人遊びのようなものを披露するのは失礼、と断るような気がする。森繁さんだったら、キレ気味に言ってたいこもちが次にどう取り繕い、お座敷を維持するか内心ニヤニヤと観察しそう。2016/08/11
seichan
7
芸能や芸人の原像をもとめながら、ストリップ小屋や踊り子、テキ屋、ゲイバーのオカマ(戦前~戦後まもなくは一種の職業として「型」があったんよ)、落語や太鼓持ちなど、いわゆる常民ではない人の「昭和44年の現代」の貴重な採録集。つか、これに出てくる「フーテンのマコ」、近所であっけなく殺されてて、ある意味で苦笑した。あの時分のヨコハマらしいなぁ。昭和は遠くなりにけり。2020/10/12
4fdo4
5
米原万里女史の「打ちのめされるようなすごい本」で推薦されている本著。 昭和44年に単行本が出ているだけあって、内容は非常に貴重なものが多い。 大道芸の口上や、見世物小屋の客寄せ口上など今では聞けない愛嬌芸術が沢山収録されている。 尚且つ、かなりのページを使ってホモセクシャルについて、まあ様々な考察を書いている。後味コッテリのお薦め本である。2012/09/03
ポルポ・ウィズ・バナナ
5
昔の人は昔の人で昔の芸は凄かったという。氏の、より高みを目指す自己批評性は見習わねばならない。ハマのマコ2013/11/21