出版社内容情報
かつて「日本映画」があった.少年時代に小田原で観た戦争映画,『七人の侍』の苛酷な,しかし面白く少し哀しい助監督体験,成瀬巳喜男や豊田四郎ら,気難しくも個性的な監督の鮮烈な印象を映画の名シーンの如く綴る.
内容説明
かつて「日本映画」があった。少年の日に小田原で観た戦争映画、敗戦の色濃い東宝撮影所、『七人の侍』の苛酷な、しかし面白く少し哀しい助監督体験、成瀬巳喜男や豊田四郎等、気難しくも個性的な監督の鮮烈な印象をまるで映画の名シーンのごとく綴ったドキュメント・エッセイ集。
目次
1 遠い波―小田原で見た戦争映画
2 潜望鏡―太平洋戦争末期の日本映画
3 東宝撮影所の1945
4 『七人の侍』のしごと
5 成瀬巳喜男のしごと
6 私のなかの豊田四郎
著者等紹介
広沢栄[ヒロサワエイ]
1924‐96。脚本家。小田原に生まれる。44年東宝撮影所の助監督となる。復員後、鎌倉アカデミアに通い、東宝争議にかかわる。脚本家に転じ、代表作『日本の青春』『サンダカン八番娼館・望郷』など
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
10538jeff
0
「そのほか役者がまずくても火事がうまく燃えなくてもいちいち助監督が怒られる。それが黒澤組のしきたりだ。私たちはそれを充分心得ているつもりでもあまり頭ごなしにガンガンやられると閉口する。カンシャク玉の気配を感じ、いっせにサッとそのへんに雲がくれする。と、ますます凄い声で、「助監督はどうした、一人もいないじゃないかッ!」そんなとき、後年黒澤作品のプロデューサーとなる、当時は二七歳のスクリプター、野上照代(ノンちゃん)がなんとかお怒りをなだめてくれる。」(p.151)2023/08/28