出版社内容情報
理想とヒューマニズムを追究し文壇の推進力となった武者小路ら白樺派,独自な個性をはなち官能の世界をえがく荷風と潤一郎.本格的小説を確立させた大正期がよみがえる.
内容説明
自然主義文学を乗り越えるべく結成された白樺派が理想とヒューマニズムを追求する一方、耽美派と称された作家たちは華やかな美と官能の世界を構築した。本格的な小説確立期を、大正文壇の諸相と作家の実生活のさまをまじえて語り合う。本巻は「有島武郎」「武者小路実篤」「永井荷風」「谷崎潤一郎」。
目次
有島武郎(札幌時代;女性関係・友人関係 ほか)
武者小路実篤―『白樺』の人びと(武者小路文学の時代区分;その根本にある東洋思想 ほか)
永井荷風(荷風における漢文学;荷風における欧米文学 ほか)
谷崎潤一郎(倫理の問題よりも生老病死の問題;思想的か無思想的か ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
4
ラスキンの『アントゥー・ジス・ラスト』(19頁)。この最後の者にも ということで、朝早くから働いても、夕方に来ても、同じ報酬を、というのだったと思う。有島武郎の節に登場。本多氏が指摘するように、武者小路実篤の自己確立とは、トルストイにほれ込んで、彼を卒業していくところからはじまっているという(119頁)。最初は誰かに心酔しつつも、その人から、いつの日か、旅立つときは来る。それが学習成果であるかもしれない。その恩は忘れないにしても。「新しき村」の労働と芸術の一致(167頁)。京大、慶大に関わった文人もいる。2013/04/15
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- 和書
- ホーキーベカコン 〈3〉