出版社内容情報
グローバル化された世界の中での軍事衝突、ポピュリズムや原理主義の台頭、娯楽化するメディア……。歴史があたかも進歩をやめて後ずさりしはじめたかに見える二十一世紀初めの政治・社会の現実に鋭い批判の矢を放ち、異文化への理解や教育のあり方、知識人の使命について独特のアイロニーに富む文体で深い洞察を巡らす。
内容説明
グローバル化された世界の中での軍事衝突、ポピュリズムや原理主義の台頭、娯楽化するメディア…。歴史があたかも進歩をやめて後ずさりしはじめたかに見える二一世紀初めの政治・社会の現実に鋭い批判の矢を放ち、異文化への理解や教育のあり方、知識人の使命について独特のアイロニーに富む文体で深い洞察を巡らす。
目次
エビの歩き方―歴史の後ずさり
1 戦争、平和、その他のこと
2 グレート・ゲームへの逆戻り
3 十字軍への逆戻り
4 『神学大全』その他
5 人種の防衛
6 第三千年紀初めの黄昏
著者等紹介
エーコ,ウンベルト[エーコ,ウンベルト] [Eco,Umberto]
1932‐2016年。北イタリア・アレッサンドリャ生まれ。ボローニャ大学教授、同大高等人文学研究所所長を歴任。中世美学、記号学、メディア論、小説など幅広い分野で活躍
アマデイ,リッカルド[アマデイ,リッカルド] [Amadei,Riccardo]
1945年、北イタリア・トリーノ生まれ。翻訳者・同時通訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひでお
8
エーコは、日本では小説家として認識されていますが、こちらはエッセイ集で、とくにエーコの本業ともいえる哲学や中世の歴史や文化人類学に焦点をあてています。文章は比喩が多くて日本人には理解が難しいところもありますが、論旨はわかりやすく、納得できるものでした。同時多発テロ以降の紛争については、宗教的なところは私には理解が及ばないところが多いのですが、ちくりと棘のある文章は日本人には欠けないユーモアがあって、面白く読むことができました。2022/09/13
TK39
4
ウンベルトエーコのエッセイ。博学な文化人であることがよくわかる。難しい事をわかりやすい表現、事例で論理的に説明する。最近の戦争の特徴、ファシズム、ポピュリズムの論理に加えて、ダイバーシティの必要性を21世紀の初めには主張していた。左派、革新的な考え方をしており、論理的なので納得感が高まる。良本だと思います。2021/08/13
aruku_gojira
2
ウンベルト・エーコとは何者か?小説家なのかと思ったが、末尾の解説を読むと『薔薇の名前』を書いたのは1980年とあり、小説自体はエーコの活動史で見ると後半になるらしい。専門は中世史とのことで、所収のエッセイにはアンリ4世と司教の逸話が出てきたりする。 小説も書いた作家であるが、2000年代初頭のイタリア政治、そしてアメリカの対テロ戦争への評論は、ベトナム戦争やイタリアのエチオピア侵攻を知らない世代にとって、時代がアップデートしているよりむしろ後ずさりしていることを、あるのかも、と気づかせてくれる。2021/11/12
中島直人
2
時事ネタを取り扱ったエッセー集。著者の知性とユーモア、またバランス感覚が感じられる。2021/07/18
コミジ
1
読み始めると最初はイタリアからの視点が私には非常に新鮮で、知性を感じさせながらもクスッとさせられる記述が多く、非常に面白かった。日本で同等の著者はいるかしら、と何度も思いながら読了しました。2023/08/16