出版社内容情報
テレビは本当に「一億総白痴化」をもたらしたのか? 〈教養のメディア〉としてのテレビ史を活写する.
佐藤 卓己[サトウ タクミ]
著・文・その他
内容説明
テレビは本当に「一億総白痴化」をもたらしたのか?それとも、「一億総博知化」をもたらし得るものなのか。戦前・戦後にまたがる「放送教育運動」の軌跡を通して、従来の娯楽文化論/報道論ではなく、“教養のメディア”としてのテレビ史を論じ、その可能性を浮かび上がらせた画期的著作。
目次
序章 「テレビ的教養」を求めて
第1章 国民教化メディアの一九二五年体制
第2章 テレビの戦後民主主義
第3章 一億総中流意識の製造機
第4章 テレビ教育国家の黄昏
終章 「テレビ的教養」の可能性
著者等紹介
佐藤卓己[サトウタクミ]
1960年生まれ。京都大学大学院博士課程単位取得退学。国際日本文化研究センター助教授などを経て、現在、京都大学大学院教育学研究科教授。専攻はメディア史、大衆文化論。著書に『『キング』の時代―国民大衆雑誌の公共性』(岩波書店、日本出版学会賞受賞、サントリー学芸賞受賞)、『言論統制―情報官・鈴木康三と教育の国防国家』(中公新書、吉田茂賞受賞)、『ファシスト的公共性―総力戦体制のメディア学』(岩波書店、毎日出版文化賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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templecity
5
昔はNHKは教養向けで民放は娯楽で下らないとかテレビばかりを見ていたら一億総白痴化となり考えることが無くなるなどとテレビに対してネガティブな見方もあった。家族との会話が無くなるとは言われたがテレビをきっかけに話も弾むようになったのも事実である。テレビが出たての頃は教育への影響を周りが凄く心配した。しかしテレビをよく見る子供は読書も良くするし成績も良い。テレビが必ずしも教育に影響を直接的に及ぼしているのではないことが分かる。ただ番組構成については教育・教養の割合を考慮したりしていた。(続きあり) 2019/04/22
コウヘイ
2
戦前から戦後に至るテレビ(メディア)の盛衰を教育や政治の側面から概観し、「テレビ的教養」の可能性を示唆する本。興味深い点は2つ。1つは、戦後のテレビの発展に戦前のメソッドや人材が広く活用されていたこと。電通に旧満鉄系の人間が多数いたとは知らなかった。もう1つは、ニューメディア脅威論の普遍性。どんな時代も、新しく登場したメディアヘは懐疑の目が向けられてきた。興味深いのは、テレビの登場が既存の知識人の権威を貶めてしまうと危惧されていたこと。ネット時代になる前からそうした危機感はあったのだ。2019/10/27
katashin86
1
多作な佐藤先生の著作の中でも有名なもののひとつ。テレビというメディアが日本でどのように普及していったのかを、教育放送という切り口から述べていく。2021/03/04
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- 毎日が発見 2019年5月号 毎日が発見