出版社内容情報
代表的な原始仏典『スッタニパータ』『ダンマパダ』『テーラガーター』などから主要部を読みながら,釈尊の教えと生涯を平明に解読していく.仏教は,ブッダ(仏陀)の教えであり、普遍的な法,道理に目覚めた人全てがブッダであること、仏教で実践すべき理法の基本が,「慈悲」の精神であることが明らかにされる。
目次
第1講 パーリ語原始仏典について(パーリ語仏典―総説;最古の経典―『スッタニパータ』;人生の指針―『ダンマパダ』;真理をたたえる―『ウダーナヴァルガ』;ブッダ最後の旅―『大パリニッバーナ経』;仏弟子の告白―『テーラガーター』尼僧の告白―『テーリーガーター』)
第2講 ゴータマ・ブッダの生涯―文庫本『ブッダのことば』を中心として(歴史的人物としてのゴータマ・ブッダ;誕生;人生に関する反省―出家修行;教化活動)
第3講 最後の旅路―文庫本『ブッダ最後の旅』にもとづいて(故郷を目ざして;商業都市ヴェーサーリーにて;最後の説法)
第4講 ブッダ(ブッダとは何か?;仏を拝む)
第5講 基本となる教え―法の観念(ゴータマ・ブッダの教えの特徴;法の観念の源流;自己を認識せよ)
第6講 釈尊を慕う人々―集いの成立(平等の原則;救われた人々;理想の共同;集いの成立)
第7講 慈悲の理想―人間はどう生きるべきか(慈悲;慈悲の徳;慈悲の理想;なぜ他人を愛するのか;人生の幸福;人間の理法)
第8講 経済倫理の問題(原始仏教の社会性;仏典の中の経済倫理)
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
姉勤
25
「スッタニパータ(ブッダのことば)」「ダンマパダ(真理のことば) ウダーナヴァルガ(感興のことば)」「マハーパリニッパーナ(最後の旅)」など、同著者が岩波文庫で刊行されている初期仏教経典のガイダンス本。8章の講話形式で、ブッダの生い立ちと一生、仏教の成立の経緯、古代インドの社会、仏教の現代日本への規範など。素人でもわかりやすく。素朴で、単純な教えは、時代や文化、地域を超えて。2015/09/30
十川×三(とがわばつぞう)
16
500冊目に選んだ。良書。古代インドのパーリ語、サンスクリット語を読める中村元博士だから書ける作品。数冊の原始仏典から引用しブッダの思想を解説。▼ブッダはネパール人。悟りを得た後、初めて教えを説いた場所はインドのヒンドゥー教の霊場バラナシ。初めて説法を聞いたのは、人ではなく鹿。鹿は仏教において特別な生き物となった。2021/10/17
takeapple
8
結構仕事が忙しかったので、時間かかったけれど、読み応えがあった。原始仏典も中村元訳、岩波文庫で出ているので、読んでみよう。 ゴーダマブッダが説いた仏教がどんなものだったのかもっと知りたいと思う。2016/04/30
roughfractus02
7
悟り体験を語る者は書かず、その言葉が語り継がれてのちに書かれる場合、語られた言葉を書く過程には多くの人と異なる言語が関わる。ゆえに、始まりの体験と言葉を取り出すのは困難だ。が、仏教は仏陀の言葉を初期仏典の最古層にあるとする一方で悟りを言葉の外に置いて言葉を脱する体系を作り上げた。原始仏典のセミナーを書きおこした本書もこの過程を継承しつつ進む。この過程抜きに原始仏典を読むと、生活に密着した仏陀の自己肯定の言葉が散見するかに思える。が、語る者は財を捨てた厳しい身にあり、その厳しさを強いる悟りが言葉の外にある。2021/03/30
AR読書記録
7
いろいろいろいろいろいろ「ふむふむ」というところはあるんだけど、古典的教養が現代社会に燦然と生きる(た)例として、「サンフランシスコ講和条約締結のときに、セイロン(現スリランカ)の代表は次の詩を引用して、日本に対する一切の賠償請求権を放棄しました。「実にこの世においては、怨みに報いるに怨みを以てしたならば、ついに怨みの息(や)むことはない。怨みをすててこそ息む。これは永遠の真理である。」」っていうのは、心に刻みつけておかなきゃいけないなぁ、と。2018/04/03