岩波現代文庫
「平和国家」日本の再検討

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  • サイズ 文庫判/ページ数 374,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006003036
  • NDC分類 323.142
  • Cコード C0131

内容説明

日本国憲法、とりわけその平和主義の有効性については長きにわたって議論が続いている。本書は新憲法の誕生から現在までを、グローバルな視点と新資料でその主題に有益な視座を提示する。そもそも戦後日本の平和主義とはいかに総括されるべきか。日本国憲法と日米安保と安全保障論について、私たちの認識は果たして正しかったのか。日本の平和を願う人々にとって、いま最も求められる論争的な一冊。

目次

第1章 平和憲法の成立
第2章 講和・安保体制の成立
第3章 憲法と安保の相剋
第4章 日本再軍備の特殊な構造
第5章 安保体制下の「平和国家」の変遷
第6章 冷戦の終結と安全保障
第7章 平和国家に問われているもの

著者等紹介

古関彰一[コセキショウイチ]
1943年東京都生まれ。早稲田大学大学院法学研究科修士課程修了。和光大学教授を経て、1991年より獨協大学法学部教授。専攻=憲政史。日本国憲法の制定過程に関する研究、憲法の平和主義の軌跡を講和条約、安保条約との関わりで解明する仕事をしてきた。また、安全保障に関する提言や歴史的変遷を新たな視角から考察している。1989年に吉野作造賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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かじやん0514

1
久しぶりに読んで、うーんとうなってしまった。戦後平和運動の評価がやはり低すぎる。確かに、戦争責任の問題に向き合うようになったのは遅かったかもしれないが、他方で、日本政府の対外政策に強い縛りをかけてきたことも事実。古関さんのこの立場に立つと、戦争法反対運動の評価も同様に低くなって、それは評価として間違っているので、いろいろ留保を加えながら読まないと行けない本だと改めて思った。2015/11/04

Francis

1
戦争放棄・戦力否認を定めた日本国憲法第9条は占領軍最高司令官マッカーサーの天皇制維持と沖縄の軍事要塞化の意図を背景に制定されたこと、戦争を終結させたサンフランシスコ講和条約で日本の戦争責任が全く問われなかったこと、これらを前提にした戦後日本はどのように「平和国家」として歩んできたかを検証する。著者は最近唱えられている「人間の安全保障」を先取りした憲法前文の平和生存権や平和構築活動で非軍事的な領域が広がりつつあることに「平和国家」日本の新たな展開を見出そうとしている。かなり刺激的な、読んでおいて損はない本。2014/01/21

OTR

0
名著『集団的自衛権と安全保障』の執筆者古関の本を見つけた。安保条約や日本国憲法の成立に始まり、現代まで俯瞰する本書を読むと、憲法理念が本来の目的を離れ、かつ、ともに議論すべき要点からも離れて、大きなボタンの掛け違いまで起きてしまったことを感じた。戦争責任や沖縄のあり方に目をつぶったまま、憲法のあり方のみが、護憲・改憲という枠で議論されすぎた。さらに、安全保障=国家安全保障となった今、完全に日本が「冷戦後」になりきれず、軍備優先の冷戦下を歩んでいる、ということ、これは結局、現在の東アジアの冷戦(中国や韓国と2014/10/02

まあ

0
単行本版を読了。個人主義から平和主義、平和国家、日本国憲法を見ていく第6章が特にためになった。すごい量の文献をもとにしているため読むのがとても大変。しかし主張はとても納得がいく。「憲法は理想を定めたものではない」というのは感銘を受けた。2023/08/27

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