内容説明
『学問のすすめ』は、福沢諭吉の第一の主著であり、明治期を代表するベスト・セラーである。当時の日本人の精神形成に計り知れぬ影響を与えた。さらに、戦後から現代まで、近代的・合理主義的な人間観、学問観の出発を示す書として、読み継がれてきた国民的古典である。伊藤正雄による現代語訳は、原文の意味を尊重したわかり易い文体で、内容も把握し易く工夫されている。
目次
人は同等なること(人権平等論)
国は同等なること(国権平等論)
一身独立して一国独立すること(個人の独立即国家の独立)
学者の職分を論ず(民間学者の責任)
明治七年一月一日の詞(日本学徒の覚悟)
国法の貴きを論ず(順法精神の必要)
国民の職分を論ず(義に殉ぜよ)
わが心をもって他人の身を制すべからず(男尊女卑と家父長専制との弊)
学問の旨を二様に記して、中津の旧友に贈る文(少年よ、大志を抱け)
前編の続き、中津の旧友に贈る(外尊内卑を脱却せよ)〔ほか〕
著者等紹介
福沢諭吉[フクザワユキチ]
1835‐1901年。中津藩士、教育者、啓蒙思想家。幕府の遣外使節団として欧州・米国を廻り、多くの西洋紹介書を著した。明治維新後は、慶應義塾の創設・教育と、「時事新報」を創刊して自由主義思想擁護の立場に立った
伊藤正雄[イトウマサオ]
1902‐1978年。東京帝大国文学科卒。甲南大学教授、神戸女子大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
黒瀬
98
愚かな国民の上には酷い政府がある。賢い国民の上には良い政府がある。いやはやごもっともです。しかし当時といえば一般市民は黙って国の言うことを聞けという、いわば儒教の精神が蔓延っていた時代。それで340万部(しかも人口たったの3500万人)も発行されたのだから当時の国民は相当な危機感と向上心をを持っていたのだろう。学問とは難儀なものだ。どれだけ勉強が出来たところで生活の知恵がなければ実生活については愚者、平たく言えばオバカなのだ。そう考えると自分は超絶バカである。2023/01/15
kubottar
21
思っていた以上に良かった。日本人なら誰でも知っているタイトルの本だが、ちゃんと読んだ人は少ないのではないか? 福沢諭吉の思想に触れてみるのはとても勉強になる。2021/02/22
爽
12
学問を勉強しても、実学ではないと意味がないのか。全く実学であるとは言えないな・・・現代の自分が読んで、「なるほど、そうだな」と感じることを明治時代の人が考えていたことがとにかくすごい。政府に対して批判的な内容があったのにも関わらず、当時の人にものすごく人気だったということは、「これではいけない」と思っている人も多くいたということではないのかなあ。読みやすくて中学生でも読めるだろう1冊。また読みたい。2017/01/03
kitten
11
図書館本。福翁自伝から、逆にこっちに戻った。「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」本当にこの言葉から始まっていたのか、と。明治初期、明治維新後すぐの日本で、これからの日本の進む道をみなに示している。なるほど、これはすごいわ。さすがに一万円札だ。もちろん、時代背景もあるけれども、現代にも通じる話がいくつもあって驚いた。明治初期、日本にはとんでもない人材がたくさんいたんだなぁ、と。新渡戸稲造読んだときも思ったけど。勤勉な日本人を福沢諭吉が導いたから、今日の日本があるのかな。2023/09/26
Cambel
8
お上の言う通りにするだけじゃなくて、自分で考える気概を持ちなさいとか、「詩」みたいな役だ立たないものを学ぶより商業や産業に役立つ実学だ!とか。官が偉いなんて思わずに今こそ民が活躍しないと!とか。あとは、なぜ敵討ちや暗殺がダメなのかを道徳的な視点じゃなくて理論的に述べていて、わかりやすかったです。儒教を軽くディスってるところには衝撃でした(笑)明治維新直後の日本人にとっては、刺激が強かったのでは。。。2016/11/14
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