内容説明
一九三三年五月、文相鳩山一郎は京大法学部教授滝川幸辰の刑法学説をマルクス主義的であるとして休職処分を発令、著書『刑法読本』は発禁にされた。これに抗議して法学部教官が辞職、学生やジャーナリズムも反対に立つ。この滝川事件を、一九一三年の沢柳事件から現在に至る射程で捉え、大学の自治、学問の自由とは何かを問う。現代文庫オリジナル版。
目次
序 自由と自治の伝統―沢柳事件と滝川事件
1 沢柳事件始末
2 滝川処分まで
3 局面打開への努力―小西解決案と佐々木惣一
4 滝川事件の展開―非常時下の知識人
5 滝川事件以後―京都大学法学部再建問題
6 滝川事件をめぐる人びと
著者等紹介
松尾尊〓[マツオタカヨシ]
1929年鳥取市生まれ。日本史学者。京都大学文学部卒業。京都大学名誉教授。大正デモクラシーの実証的研究の先駆者、民衆史研究の新しい地平を拓いた
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