出版社内容情報
旧約聖書は,歴史上の出来事とされる事柄について,後代の信念と解釈を伝え,それを神の意志・行為の表現として真剣に受け止めるように説く.イスラエル民族のカナンの地への定着からヘロデによるエルサレム征服までの歴史.
内容説明
旧約聖書はイスラエル・ユダヤ民族の波瀾万丈の歴史を記すが、そこで描かれるのはあくまで、後の時代に「信じられた」歴史である。本書は最新の歴史的・考古学的研究の成果を盛り込み、イスラエル人のパレスチナ定着からローマのユダヤ征服に至るまでの聖書の記述の背後に、どのような「もう一つの」真実の歴史があったのかを明らかにする。
目次
第1章 乳と蜜の流れる地
第2章 歴史と伝承
第3章 カナンの地におけるイスラエル民族の成立(前十二世紀‐前十一世紀前半)
第4章 王制の導入といわゆる統一王国の確立(前十一世紀後半‐前十世紀)
第5章 王国分裂後のイスラエル王国とユダ王国(前九世紀‐前八世紀前半)
第6章 アッシリアの進出と南北両王国の運命(前八世紀後半‐前七世紀)
第7章 ユダ王国の滅亡とバビロン捕囚(前六世紀前半)
第8章 ペルシアの支配(前六世紀後半‐前四世紀中葉)
第9章 ヘレニズム時代
第10章 ハスモン王朝からヘロデ大王まで
著者等紹介
山我哲雄[ヤマガテツオ]
1951年東京に生まれる。85年早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。旧約聖書学・イスラエル史専攻。北星学園大学教授
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
38
旧約聖書に書かれた伝承が、そのまま歴史的事実とは言えないが、その中に何らかの事実が間接的に反映されていると考え、探しあてていく努力がなされている。説話的で、現実にはなさそうな物語であると思っても、じつは逆方向だと考えることによって、整合性のある話として再解釈できる例もある。歴史上の不思議も、見方を変えることでかなり解決でき、古代といっても、そこには人間の当たり前な生活があったということ。出エジプトやバビロン捕囚などの歴史上有名なできごとも、その実像は意外に常識的で、無理なくありうる規模のことだったようだ。2024/10/31
i-miya
28
2010.06.26 山折哲雄さんとばっかり思ってましたら、やまがてつおさん。(人名索引) アタルヤ、アブラハム、アレクサンドロス大王、アンティオコス1~12世、カッサンドロス、キュロス2世(大王)、クレオパトラ1、3、7世、シェバの女王、セレウコス1,2,4世、ソ、ソロモン、ダビデ、ダレイオス1~3世、ネコ2世、ネブカドネッアル2世、プトレマイオス1-9世、ヘロデ、ポンペイウス、マホメット(ムハンマド)、ムワッタリ2世、モーセ、ヤコブ、ユダ、ヨシュア(モーセの後継者)、2010/06/27
モリータ
13
世界史の教科書の解説本では物足りないが、いきなりヘロドトスやヨセフス『ユダヤ古代誌』なんかを読むのはためらわれた私にとってはちょうどよかった。旧約聖書を最初に読んだ時に強烈に感じた「なんとか生き延びてきた一つの民族の歴史」という印象が裏付けられた。歴史的に古いがゆえに推測が楽しく読めたのは出エジプトやイスラエル十二部族の伝説形成のあたりかな。2015/04/06
hide
12
旧約聖書の成立史は、そのままユダヤ民族の成立史でもある。アッシリア・ペルシアといった中東の名だたる大国の狭間で屈服と独立を繰り返し、強制移住を経てもユダヤ民族がアイデンティティを保ち続けることができたのはなぜか。そして、かの民族はいかにして強烈な選民思想と終末思想を持つに至ったのかが先行研究をベースに語られる。/小国の悲哀と宗教による結びつきの強さを実感させられる一冊。2022/08/14
hitotoseno
9
しばしばユダヤ教は選民的だとされるが、本書を読めばその所以はいくらか知れるだろう。たとえば我が国は天皇家が2600年以上続いたことを誇っているが、それは所詮(少なからぬ内乱はあったにせよ1945年を除いて)外圧がなかったからに過ぎない。一方、ユダヤ教は数々の内乱・外圧を経ながらヤハウェへの信仰を築き上げ、守り通してきた。それ自体は肯定されるべきだ。なぜなら宗教は揺れ動く人心のための精神安定剤となるのだから。否定されるべき時がきたとしたら、権力が宗教を利用する時であり、本書にもその痕跡は残されている。2016/02/03




