出版社内容情報
ファシズム下の日本知識人の軌跡を通して「転向」の事実と意味を問い直し,それが日本の精神史を貫く「文化の鎖国性」という特質と通底することを明らかにする.知識と思想のあり方に反省を迫る現代日本思想史前篇.
内容説明
カナダの大学で学生に向け語られた、広い視野からの現代日本思想史前篇。ファシズム支配下の日本知識人の軌跡を通して「転向」の事実と意味を問い直し、それが日本の精神史を貫く「文化の鎖国性」という特質と通底することを明らかにする。知識と思想のあり方に反省を迫る独自の日本文化論でもある。
目次
一九三一年から四五年にかけての日本への接近
転向について
鎖国
国体について
大アジア
非転向の形
日本の中の朝鮮
非スターリン化をめざして
玉砕の思想
戦時下の日常生活
原爆の犠牲者として
戦争の終わり
ふりかえって
著者等紹介
鶴見俊輔[ツルミシュンスケ]
1922年東京生まれ。’42年ハーバード大学哲学科卒業。’46年「思想の科学」創刊を主導し、以来アカデミズムの枠にとらわれず、大衆文化への独自の目配りをもって日本人の思考様式の非合理性を批判し続ける
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
60
「戦時期」とは1931年の満州事変から45年の終戦までを指し、作者は様々な角度からこの15年の日本の精神史を炙り出してゆきます。その中で、日本がこの戦争から中国への敗北という側面を切り離していることなど視野が開ける指摘が多くありました。同時に、戦中に沖縄や朝鮮の民族文化の蔑視に抗議した柳宗悦や自身が何故死ぬのか考えた特攻隊員林尹夫など、今日に反省と反戦をもたらす声・「実り」も示していて、戦争について、「私たちがまちがいを通して得ることのできた真理への方向性の感覚」を確認するために大切な一冊になりそうです。2022/11/11
i-miya
57
2013.12.09(12/09)鶴見俊輔著。12/07 ◎東大新人会の重さ。 1917、ロシア革命、日本の大学生に大きな影響を与えた。 1918.07.23、米の値上がりに対し、抗議、米騒動。 地域民衆の起こした自発的抗議行動。 十八歳の日本の少年、人生全体の競争の、最も難しい部分は、もう終わった、と感じる。 さらに残る6年間、その時間は日本の未来の設計図を描くことに費やした。 吉野作造。 1918.12、東大新人会創立。 赤松真麿、宮崎竜介、石渡晴雄。 2013/12/09
i-miya
51
2013.04.02(つづき)鶴見俊輔著。 2013.04.01 戦争の年月に、日本で何が起こったか。 戦争時期以外の時代に日本、日本以外の場所でなにが起こったか、ということを理解する糸口を提示したい。 「転向」という言葉、1920代、1930代、広くこのことば、使われるが、ヨーロッパ起源ではない。 政治的雰囲気の中。 2013/04/02
i-miya
49
2014.01.19(01/09)(つづき)鶴見俊輔著。 01/17 (p021) (東大新人会、つづき) 創立者たちは、社会主義運動から国家社会主義へ向かう。 (1)その一人、赤松克磨、・・・1922、日本共産党入党、のちにはなれて1930、社会民衆党の書記長にある。彼は国民の利益を守るものとして天皇の役割を説くようになる。彼は満洲事変が起こればそれを正当化、満洲国が成立すればそれを正当化したが、そのことへも導いた。国策としての中国侵略の道と両立する民主化、社会主義化の道を日本に求めた。 2014/01/19
i-miya
43
2013.04.02-2(つづき)鶴見俊輔著。 2013.04.01 標準の傾向からの逸脱。 間違いを通じて成長する。 西洋に広がった日本趣味について。 チェンバレン。 ラフハディオ・ハーン。 バーナード・リーチ。 「十五年戦争」という呼び方。 ◎転向について(1979.09.20)。 転向の廃止について。 文明の梯子段(架空)を登る日本人他。 徳川幕府に反対する運動。 吉田寅次郎、橋本左内、坂本竜馬、高杉晋作らと西郷隆盛、大久保、木戸孝允ら。 岩倉具視を例外して、みな死亡。 ロシア戦、素早く終わらせたい2013/04/02
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