出版社内容情報
日本の敗戦直後、朝鮮各地では人民委員会が結成され、45年9月には呂運亨らにより朝鮮人民共和国の樹立が宣言された。だが米軍政は共和国を否定して親日派と結んで、翌年の人民抗争にも徹底的な弾圧で臨んだ。著者はこの過程に済州島四・三抗争や朝鮮戦争時の国家暴力の発端を読み取り、「解放一年史」の研究を重ねてきた。本書は半世紀にわたるその思索の集大成である。鄭栄桓氏の詳細な解説を付す。
【目次】
第1章 「解放一年史」再考
第2章 朝鮮人民共和国に関する若干の問題:全国人民委員会代表者大会(1945年11月)における議論を中心に
第3章 第二次大戦後の朝鮮における民主主義民族戦線
第4章 解放直後の朝鮮における「民主基地論」:統一戦線論を手がかりに
第5章 歴史をとおしてみる統一国家像
第6章 朝鮮の「解放」と中国
第7章 独立・統一・「進歩的民主主義」を求めて:夢陽・呂運亨の生涯
第8章 東アジア冷戦と朝鮮における政治的暴力の起源:解放一年史を中心に
第9章 済州島「四・三事件」における「暴力」
第10章 国際関係学による「場」としての東アジア
第11章 『朝鮮半島の分断構造』と『アメリカのディレンマ』を読む
第12章 国際シンポジウム「東アジアの冷戦と国家テロリズム」の旅
第13章 『現代朝鮮の悲劇の指導者たち』訳者あとがき
第14章 国際関係論と朝鮮現代史
第15章 『朝鮮戦争の起源』訳者あとがき
第16章 「朝鮮戦争像」の根本的な転換迫る:カミングスの『朝鮮戦争の起源』
第17章 安倍首相の「戦後七〇年談話」について:日韓条約50年の観点から
第18章 亡命運動家鄭敬謨先生の生涯と時代
著作目録 鄭栄桓
解説 「解放一年史」の種火を受け継ぐ 鄭栄桓
あとがき
人名索引・事項索引



