岩波現代文庫<br> ベンヤミン「歴史哲学テーゼ」精読

岩波現代文庫
ベンヤミン「歴史哲学テーゼ」精読

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  • サイズ 文庫判/ページ数 192p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006000318
  • NDC分類 201.1
  • Cコード C0110

出版社内容情報

ベンヤミンの生涯の思考を結晶させた絶筆「歴史哲学テーゼ」は,歴史の連続性に依拠する進歩史観や勝者の歴史観に対峙する.敗者のありうべき過去の可能性を探究する彼の「歴史」とは何か.独自の歴史哲学を解読する.

内容説明

ベンヤミンの生涯の思考を結晶させた絶筆「歴史哲学テーゼ」は、歴史の連続性に依拠する進歩史観や勝者の歴史観に対峙する。敗者のありうべき過去の可能性を探求した彼の「歴史」とは何か。「救済の理念」による歴史把握の方法を哲学的に跡づけ、一八のテーゼの一つ一つに即して難解な歴史的時間論を初めて解読する。ベンヤミン思想の核心を初めて哲学的・思想史的に明らかにした鮮やかな読解。

目次

第1部 方法について(二分法の無限シリーズ;星座(コンステラチオン)
静止状態
像(Figuren)による思考)
第2部 歴史の概念(神学の理念―第1‐3テーゼ;認識の可能性の条件―第4‐10テーゼ;解放の理念―第11‐12テーゼ;歴史的時間の概念―第13‐18テーゼ)
第3部 ベンヤミンの歴史的時間について(ときの間(Entr‐temps、Zwischen‐Zeit)
「まだ‐ない‐もの」(未到来)はどこにあるか
コスモロジーと時間性)

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夜間飛行

85
ベンヤミンを読むためのヒントが詰まっている本。無限二分法によってあらゆる過去をイデアとしてすくい取る「救済の理念」や、星は闇があって初めて輝くことができるという「星座ターム」等々。こうしたプラトン的思考にライプニッツのモナドを導入したベンヤミンは、超越的な彼岸にあるイデアではなく、内在するイデアとイデアを結んで「星座」を表そうとしたらしい。《過ぎ去ったものとして現前する廃墟としての世界は目に見えるものであり、その中に目に見えない「座」がある。》この静止した星座…つまり弁証法的形象の輝きこそ彼の真実なのだ。2019/05/06

ハチアカデミー

11
歴史は神学の援助無しには成立しない。その「神」が「みすぼらしい姿」をしていても、その存在を必要とする。過去を振り返り再構築する際、必ず書き手側の持つ何らかのバイアスがかかる。その「バイアス」が神であり、その「神(=己のバイアス)」を、歴史家は自覚しなければならない。未来を指向し生活するのが人間であるが、歴史家は「充実した過去の本当の姿を捉えること」を目指すべきである。分かりそうで分からないテーゼ集だが、その「分かりそう」なところが魅力。「いまこそそのとき」と今村の訳した「Jetztzeit」が印象に残る。2013/10/12

mstr_kk

8
15年ぶりくらいに再読。僕自身が「この本で描かれたベンヤミン」にかなり影響を受けていたことが認識されました。ベンヤミンを読むときの基本的な姿勢みたいなものを教えてもらったのだと思います。が、今読んでみると、「精読」とは呼べない方法で書かれているように感じました。テキストとがっちり噛み合っていないというか、引き伸ばし感があるというか。隔靴掻痒です。ベンヤミンの思想の本当の特異性に向き合うには、この本ではまったく足りません。ここからベンヤミンに入るのはよいけれど、入ったあとは捨てるべき本かなと。2018/02/28

かふ

7
難しいくて10分の1も理解できたか。18のテーゼがあるんだよな。ここで、んって気付いた人はいるかな。「エヴァンゲリオン」の使徒の数だ。そうだ主題歌にもあるではないか「残酷な天使のテーゼ」。Ⅸが有名なクレーの絵の「新しい天使」のテーゼ。それだけわかっただけでも収穫あり。ベンヤミンはユダヤ神秘思想が根っこにあるようだ。人類の救済がテーマ。はっきり言って今の人類は救済できない。メシアの到来という想像的世界観。「いまーこそーそのーとき」論って「逃げちゃダメだ」論なんだろうか?滅びるにしても。2015/06/16

瀬希瑞 世季子

3
泣けるベンヤミン2022/10/12

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