出版社内容情報
本書は大著『ソヴェト・ロシア史』4部作に基づく.1920年代をレーニンのロシア革命からスターリンのロシア革命への転換としてとらえ,革命の変貌する過程を解明する.溪内謙解説.
内容説明
著者が30年余の歳月を費やして完成した『ソヴェト・ロシア史』四部作は、革命からスターリン体制の成立までを分析した第一級の専門的著作である。本書はこの研究成果に基づき一般読者のために新しく書き下ろしたもので、1920年代をレーニンのロシア革命からスターリンのロシア革命への転換ととらえることにより、革命の変貌する過程を解明する。
目次
1917年10月
二つの世界
戦時共産主義
ネップの息つぎ期
新しいソヴェト秩序
鋏状危機
レーニンの最後の日々
スターリンの台頭
ソ連と西方(1923‐1927年)
計画化の始まり
反対派の敗北
農業のディレンマ
工業化の陣痛の高まり
第一次五カ年計画
農業集団化
独裁制の様式
ソ連と世界
歴史的展望の中の革命
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
58
出版直後の岩波現代選書版を再読。著者の大著『ソヴィエト・ロシア史』を「蒸留」したもので、サブタイトルにあるように、1917年の革命そのものではなく、革命後のソ連の社会史を、テーマ別に章立てしながら、計画経済、農業の集団化、そしてスターリンの独裁の完成までを概観する。ブレジネフ時代の1979年の著作で、十分な資料が得られないなかで、これだけの分析ができるのはさすがというしかない。レーニンの理想から、官僚的現実主義のスターリンが、どのように悪名高き独裁に進んでいったかを知るための、基本図書といえよう。2020/01/30
Ex libris 毒餃子
18
10月革命からスターリン独裁になる前までのソビエト・ロシア政治を丹念にたどった本。事実を淡々と記述する形式のため、読み進めるのが中々大変だった。しかし、欠けている知識のピースをはめ込むような読書経験だった。2024/10/13
壱萬参仟縁
11
この間トロツキー読んだのでまたロシアものを。1979年初出。彼は帝国主義国との屈辱的条約に調印することを自らの革命原則と和解できなかった(15ページ)。「非常事態に対処できる十分堅固な国家権力を創造すること」(55ページ)とは、昨夜のNHK新政権に問うの特番でタカ派視聴者が結構居たのはこのことの証左とも思えた。怪しさ、危うさを感じる箇所。国家独占資本主義は、社会主義の最も完全な物質的準備(153‐4ページ)という意味深な表現が気になった。経済体制や冷戦にしろ、勝負の問題ではない。目的は福祉社会ではないか。2012/12/23
mononofu
6
第1章から10月革命に至るまでの歴史的事実をほぼ既知のものとして展開されるのでとっつき辛いが、一つの時代を多方面から重層的に記述されている形式なので、最初はぼんやりだが確実に理解できるようになっている。また19章ではそれまで詳細に渡って書いてきた事実をもとに、一つ次元を繰り上げてこの時代の著者の非常に良くまとまった見解を述べている。この最終章を読むだけでも当時のロシア・ソビエトが何を元に何を指向したのかが理解でき、読む価値が高いと言える。また解説のカーとドイッチャーとのやりとりもファンには嬉しい。2012/12/13
nranjen
5
図書館本。古典中の古典、基本中の基本なので目を通しておく。残念ながら、関係する箇所ははじめの1、2章で終わってしまった。2021/03/10