出版社内容情報
白夜の夏,生物学者が見た南極の自然とは? 笑いあり涙あり,観測隊の日常がオモシロい![カラー口絵8頁]
内容説明
南極観測隊に参加した著者。白夜の夏、キャンプのような野外調査。時に笑い、時にぶつかり、苦楽をともにする仲間たち。砕氷艦「しらせ」には大学や露天風呂がある?寄せては返すペンギン、土下座をする隊員…、生物学者が見た極地の自然と観測隊の日常を、貴重な写真とユーモアあふれる文体でつづる!
目次
第1章 なぜ南極なのか?
第2章 砕氷艦「しらせ」の旅
第3章 南極を歩く―ラングホブデ
第4章 南極の風景―スカルブスネス
第5章 南極の湖とコケ坊主
第6章 さらば南極
著者等紹介
鈴木忠[スズキアツシ]
1960年愛知県生まれ。名古屋大学で昆虫の脱皮と変態を研究。浜松医科大学生物学教室を経て1991年から慶應義塾大学生物学教室に所属。2000年よりクマムシをめぐる自然誌研究を続ける。デンマークへ1年間留学し、動物学博物館で海産クマムシの卵形成を研究しつつ『クマムシ?!―小さな怪物』(2006年、岩波科学ライブラリー)を執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アナーキー靴下
72
お気に入りの方が「ほぼ南極調査隊日誌」と書いてくれていて、クマムシ要素はほぼないとわかっていたはずなのにやっぱり期待して読んでしまった。幼稚園のタンポポ組、みたいに名前だけの話かも、なんて怖々読み始めると掴みはクマムシに触れていてつい期待、しかしやっぱり南極調査隊日誌で…。南極調査隊の話としても、この本は良くも悪くも臨場感溢れるレポートなので、知るために読むというより、体感するために読む、という感覚に近い。総じて、クマムシという訴求力の高い生物をタイトルに使ったのが逆に仇となった感は否めない。2021/05/26
ホークス
33
2019年刊。クマムシ研究者による2014年12月〜15年2月の南極レポート。クマムシの話は少ない代わりに、移動の大変さ、天候の厳しさ、食事内容、煩雑な作業といった体験が日録風に書かれている。現地は夏で、著者の気さくな口調もあって楽しそうだけど、猛烈な雪吹雪もあり、ヘリコプターでの移動は慎重を要する。南極では油断すれば即命に関わる。研究者たちは、自身の課題の他に種々の任務を負っており忙しい。環境保全のため南極に来れる人数は限られ、活動は時間との戦い。だからこそ著者の様な大らかさが重要なんだと得心した。2025/05/16
ばんだねいっぺい
29
砕氷船の多年氷帯のラミングは、ドキドキもの。アザラシの墓場が陸地にある謎。時折、予言する鳥のように出没するはぐれアデリーペンギン。南極料理は、なぜか、美味そうに感じる謎。今夜も開店バー五十六。「食費かからなくて」は、助かるユーモア。2019/08/21
yyrn
20
勘違いした私が悪いのだが、皆さんもだまされた? 模様。クマムシの生態や南極での新発見についての本だと思って読み始めたが、書かれていたのはクマムシ調査にはるばる南極まで行った研究者たちの極地での「日常生活の様子」だった(爆)。クマムシに関する記述は1割程度で、9割はどうやってそこまで行ったか、どんな調査をやったか、何が大変だったか、何を食べたかなどが日記風に延々とつづられていて、肝心の調査結果は日本にもどって詳細な分析を行ってからって「それって詐欺じゃネ?」とツッコミを入れたくなった。これってルポだったの?2019/09/27
七月せら
17
南極でのフィールドワークがどのように行われているのか、毎日の日誌のように綴られているのでその様子がよく分かって面白かったです。微小生物の調査は、肉眼では見えないためフィールドでの採集中には「見つけた!」という興奮を味わえない、というのがなるほど。クマムシについてもっと知りたくなったので、文中でも紹介されている別著の「クマムシ?! 小さな怪物」も読んでみたいと思います。2020/08/15