内容説明
2020年度の教育改革をひかえ「主体的・対話的で深い学び」「探究型学習」「哲学対話の授業」などへの関心が高まっています。正解のない課題に対して自分で「考える」ことがますます求められるようになります。本書ではフランスの事例を紹介しながら、「考える」について考えます。
目次
プロローグ 『アンパンマンのマーチ』の先へ
第1章 「ひとり」を大切に(「哲学」という日本語―孤独になる、自分で答えを見つける;個人主義の保障・推奨―憲法十三条を知っていますか;「群れる」ことがいじめを生む―いじめにあっても自分を愛し続ける ほか)
第2章 「考える」を大事にする(幼稚園の教科書―ラ・フォンテーヌの寓話詩;セ・ラ・ヴィ(それが人生よ)―だれもが哲学者
哲学授業の広がり―十八歳までに ほか)
第3章 想像力を大事にする(絵のない絵本と絵だけの絵本―想像力を刺激し考えさせるもの;マルク・シャガール―ベラ作品と「パリ・オペラ座の天井画」;ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト―オペラ『魔笛』 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コウメ
67
著者は実際にフランスで生活しており、日本の教育制度とフランスの教育制度を比べている1冊。「哲学」これがテーマ。哲学という言葉は森有礼によって生まれた言葉(こんな所にも出るか森〜呼びすて、)/哲学するにはまず孤独にならなければならない。「孤独」という言葉に敏感な日本文化は早く日本社会から消えてほしいと著者。個人主義が確立しているフランスでは幼稚園児の時から人真似ではなく、自分の意見を持つように教育されており、「○○さんと同じ」答えたら「それじゃ君は存在していない」と言われるほど「自分の意見」を大切にしている2019/09/24
ルル
13
「哲学する習慣」を身に付ける必要性が易しく説かれています。岩波ジュニアですが、大人にもオススメ(*^-^*)考える、思索を深める、ことに興味のある方はぜひ。2019/08/13
なの
12
プロローグに感銘を受けて読みはじめたけど、第二章のフランス万歳的な内容に辟易しました。フランスのどこに優位性があって、それが教育とどう結びついているのかを示してくれないと、ただ好きを押し付けられた感しか残らない。第三章はリベラルアーツとして読むのが良いかな。 繰り返しますが、プロローグは良かったです。第一章も良かったかな。2022/08/02
みつ
11
素晴らしい題名に惹かれ読了したものの、感想はというと「困惑」の一語に尽きる。どうして響くものがないのか。フランス文化礼賛が過ぎるから? 取り上げる人物や題材について深掘りされていないから? それ以上に、本の半ばあたりで、「グローバル人としての基礎を英語で作ってゆきたい」という主張に「ということは「人生を哲学する人」がそこに含まれています。」(p99)と呼応?した箇所を読んだ瞬間、違和感の原因がわかった気がした。孤独に考えることは「グローバル」な人になるためのもの? 以降折角の題材も文字面を通過するばかり。2021/07/24
ブルーツ・リー
7
これだけ1冊、ひたすら個人の自由と自己責任!とやってもらうと、すがすがしい。 やはり、なんでもかんでも「個」に帰するやり方には、限界もあるのではないか。 岩波の哲学書と言うと、だいたいが個人よりも、社会の方に重きを置く事が多いのだが、自分とは異なった意見に触れる事によって、これから学ぶべき道が見えてきたように思う。 つまり、実在論。 どこかではぶち当たるテーマだと思っていたが、案外、早く相手がやってきた。 実在論と言っても途方もなく広いテーマだから、何年かかるか分からないが、ここに当たらないと、進めない。2022/03/26