内容説明
いま日本で暮らす日系ブラジル人の数は31万人を超えるといわれています。私たちは彼らとどのような社会をつくっていけばよいのでしょうか。本書では、かつて日本から南米大陸に渡った移民たちの足跡をたどり、その歴史を学ぶと同時に、異なる文化をもつ人々と今後、共に生きていくための道を探ります。
目次
第1章 帰ってきた日系人
第2章 日系人のルーツ
第3章 欺かれた移民
第4章 苦闘の大地
第5章 日系社会の混乱と戦後移民
第6章 自立と出稼ぎ
著者等紹介
高橋幸春[タカハシユキハル]
1950年埼玉県生まれ。75年、早稲田大学第一文学部卒業後、ブラジルへ移住し、パウリスタ新聞社勤務。78年に帰国後、フリーライターとして活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ががが
8
私の市もかなりの日系ブラジル人が集団で暮らしていて、すごく身近な問題であったので読んだ。たしかに共生は難しい。異なる文化の中で理解しあうことは生易しいことではない。むしろ理解なぞできないのではないか、尊重するくらいの日本語が正しいのではないかと思う。日系人が学校でいじめられてしまうという教育現場の実態はとてもつらい。だからといって譲歩する、というのも違う。いったいどのように接したらいいのか、よくわからなくなる。でもまずは知ることからではないか、そんな気持ちになる。2018/10/02
みなみ
4
図書館本。日系ブラジル人の移民の歴史。数々の苦労を経てようやく定住してみたが、戦前の日本ではポルトガル語を勉強することもなく、日本のコミュニティだけで生きてきたようだ。その結果、太平洋戦争では大本営発表だけを見てきて、大多数は日本の敗戦を信じなかったという。「勝ち組」(日本が勝っている)「負け組」(日本は敗戦した)の対立。さらに勝ち組の過激派による負け組へのテロ。殺された人もいるという。気に入らないことを言うやつは殺してしまえ、というのは戦前の日本社会そのものだ…恐怖。2019/09/21
とりぞう
2
ぼくの出身地の島からも多くの移民が出た。「死ぬ前に」と訪日した人の翻訳をやったりしたこともある。「移民」政策は、ときに「棄民」政策であったりもしたよなあ…2025/04/25
ワタナベ読書愛
2
銀座の老舗喫茶店「パウリスタ」について調べていた時に出会った本。明治時代~日本は中南米に多くの移民を送り出した。ブラジルに渡った日本人たちの歴史は、過酷を極め、差別や病気、貧困、重労働など、あらゆる試練に遭う。多くの人が亡くなり、夢破れて帰国したりした。現地に残った人たちが必死に築いてきた日系人社会。特に農業で過酷な労働に耐えてきた人たちの歴史の上に、今の私たちや経済、社会が成り立っているとわかり感慨深い。出稼ぎで来日する日系人たちの抱える問題など、現在も対策が必要な問題は山積みのまま。知るべき歴史。2021/01/13
なにょう
2
面白かったです。 第二次世界大戦時のアメリカ移民や満州移民の話はよく聞く。 ブラジル移民の話は初めて聞いた。 今回のワールドカップに関連してよく、報道で取り上げられていた 大泉町についての言及もあった。確かに大泉町は日本の未来の姿 かもしれない。2014/07/22
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