出版社内容情報
高度経済成長期に登場した経済小説は、疑獄事件や巨大企業の不正など、多種多様なテーマを描き続けてきた。城山三郎『小説日本銀行』、石川達三『金環蝕』、松本清張『空の城』など、戦後日本社会の深層を描いた古典的名作から、二〇一〇年代に刊行されたものまで、著者ならではの幅広い選書によるブックガイド。
内容説明
高度経済成長期に登場した経済小説は、疑獄事件や巨大企業の不正、組織に抗う個人など、さまざまなテーマを描き続けてきた。城山三郎『小説日本銀行』、石川達三『金環蝕』、松本清張『空の城』など、戦後日本社会の深層を描いた古典的名作から、二〇一〇年代に刊行された作品まで、幅広く選び抜かれたブックガイド。
目次
1 巨悪の実態(原発利権;政財界の裏側)
2 増大する資本と欲望(巨大資本をめぐる;欲望のゆくえ)
3 会社国家ニッポンのゆがみ(企業のモラルを問う;業界の深奥)
4 組織と人間(会社を告発する個人;社員という人生)
著者等紹介
佐高信[サタカマコト]
1945年山形県生まれ。1967年慶應義塾大学法学部卒業。現在、評論家・東北公益文科大学客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
113
ブックガイドであるこういう本に、敢えてレビューなど不要だろう。巨悪の実態/増大する資本と欲望/会社国家ニッポンのゆがみ/組織と人間の4つの分野に分けて、古今の経済小説が紹介されている。私が、経済には興味あれど経済小説に食指が伸びないのは、エンタメ的要素として詰まらぬ男女の物語が盛り込まれたり、名誉棄損を怖れて架空の設定だったりと、ストレートに本質に届かないもどかしさを覚えるからである。その点、この佐高さんの解説は、モデルの所在も実名で紹介し、現実と作品との関係への明快な読み解きになっているのが有り難い。2022/11/28
k5
46
経済小説のカタログが欲しくて読んだんですが、なかなかに刺激的でした。ある意味、歴史小説が人間というものを熟成してエキスを抽出したものだとすれば、現代もしくは同じ時代の人間の愛憎や嫉妬、そして足のひっぱりあいを描いた経済小説は、酒だったらアタックが強く、他の食べ物なら生々しい臭みがあるという気がします。いっぱい読みたい本があったので、これから読んでいくと思います。2024/11/09
菫子
13
社会勉強にうってつけな良書。また読み直したい。2022/01/02
羊山羊
11
著者はビジネスマンを他者と会社という存在に二重に自己を曲げられた人々であると定義してそのせめぎあいからこぼれる人間たちを描く小説たちを次々と紹介する。そしてその小説たちの危うさときたら、中々にすさまじいものがある。新聞紙で紹介したら圧力がかかったものだらけだ。小説たちを巡る内情だけでも1つのドラマが成立するものばかりである。お金や経済だけではないブックガイド。2022/01/27
Z
6
著者は良くも悪くもジャーナリストで官民の癒着、政治家、官僚、企業の不正を暴く小説を主に紹介。読みながら、不正の例を挙げようと思ったが、多すぎて書けない。私小説にゆがまなったら、あったであろう、自然主義の小説って感じだなぁ。いくつか読んでみようかな2022/02/21
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