出版社内容情報
さまざまな勢力が併存、角逐する一七世紀。そのカオスを収拾し、東アジアに君臨した清朝の「盛世」から、多元共存システムがほころびをみせる一八世紀。西洋の衝撃、革命と独立によって清朝が潰え、ふたたび混迷する一九世紀、そして現代へ--。一元化と多元化を往還しつづける、平和と騒乱の四百年を描く。シリーズ完結。
内容説明
さまざまな勢力が角逐する一七世紀。そのカオスを収拾し、東アジアに君臨した清朝の「盛世」から、多元共存がほころぶ一八世紀。西洋と日本の衝撃に揺れる一九世紀。清朝が潰え、混迷のなかから「中国」が姿を現す二〇世紀、そして現代へ。多元と一体の狭間で、「一つの中国」を夢みるに至った四百年を描く。シリーズ完結!
目次
第1章 興隆(遼東;入関;沿海―瓦市;草原―モンゴル・チベット;隣国―ロシア・朝鮮)
第2章 転換(到達―清朝の素描;雍正;限界)
第3章 「盛世」(乾隆―その人・その時代;経済;社会;分岐;構造)
第4章 近代(矜恃;暗雲;破綻)
第5章 「中国」(転変;民国;革命)
著者等紹介
岡本隆司[オカモトタカシ]
1965年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。現在、京都府立大学文学部教授。専攻は近代アジア史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
58
シリーズ完結。400年を一気にまとめたのでかなり構造的な議論になっており、特に現代は物足りないけど、そこは別シリーズってことかな。清は領土拡大から強力と思いがちだけど、逆に弱さを知っていたため各地の勢力を上手く生かして統治したという視点が面白い。したがってコントロールが失われれば各地がバラバラになろうとし、現在はそれを力尽くで押さえているということか。また、この謙虚さが化外のヨーロッパに対してはなかった(中華思想故?)のが清末の外憂の原因と言えそう。経済についてさらっと構造をまとめてあるが分かりやすい。2020/08/01
Miyoshi Hirotaka
40
明は「北虜南倭」で外部環境を単純化する外交政策を取ったが、多様性や多元化に対処しきれなくなり、17世紀半ばに滅亡。あとを継いだ清は多元共存を目指し、明の版図をゆっくりと統一し、東アジアに平和と繁栄をもたらした。しかし、清が栄華を享受した18世紀は西洋が新しい経済的段階に突入。清も人口の激増、移民、開発の進展で流動化、拡大膨張し、対症療法では安定が維持できなくなった。日清戦争を分水嶺として、東アジアは世界史と連動。清の崩壊後は一体化へと反転。共産化で損害と犠牲を出し、今では「中国夢」が周辺国との軋轢の原因。2021/12/28
サアベドラ
37
シリーズ最終巻で、「多元性と統一」をテーマに清初~現代までを素描する。2020年刊。著者の専門は清末外交史。少数のマンジュが漢蒙蔵など多数の民族を征服・従属させる形で成立した大清帝国は、軍事的強大さとは裏腹に常に危ういバランスの上に成り立っていた。18世紀の漢民族の人口爆発とインフレにより政府は政治と経済のコントロールを失い、その状況は結局、中華人民共和国成立まで終息しなかった。中国共産党は「一つの中国」を清の版図の上で実現しようとしているが、そんなものは最初から存在しない「夢」であると断じている。2020/10/06
kawa
37
全5巻の5巻目から。17世紀誕生の清を中心に、清滅亡から習近平政権までは駆け足で。今の中国を理解する史書入門としては最適かも。満州族の清が全中国を統治するために、明時代の在地在来の制度・慣習をそのまま利用したこと(因俗而治)、17世紀から19世紀に人口が1億以下から4億人超えしたにもかかわらず、清の統治機構は税の徴収と犯罪に対する罰に終始(ウルトラ・チープ・ガバメント)したため、経済的インフラの整備がなされず、庶民の貧困や治安悪化を招き、ヨーロッパ列強・日本からの圧迫を招く結果となった等が印象に残る。2020/09/11
まえぞう
34
シリーズ最終巻は清朝を中心に、現代の中国につながる歴史が語られます。欧米や日本の進出により、中華的な朝貢関係や藩部といったシステムを変更せざるをえなくなったことが、今の中国が執拗に領土主権を主張する要因となっていると感じました。2020/07/19
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