内容説明
グローバル化は今に始まったのではない。ストーンヘンジの時代から、サッチャー後の今日まで、複合社会イギリスをダイナミックに描く。さまざまな文化の衝突と融合、歴史をいろどる男と女、王位問題と教会・議会、日本史との交錯など、最新の研究成果を反映した、タネもシカケもある全10講。
目次
第1講 イギリス史の始まり
第2講 ローマの属州から北海の王国へ
第3講 海峡をまたぐ王朝
第4講 長い一六世紀
第5講 二つの国制革命
第6講 財政軍事国家と啓蒙
第7講 産業革命と近代世界
第8講 大変貌のヴィクトリア時代
第9講 帝国と大衆社会
第10講 現代のイギリス
著者等紹介
近藤和彦[コンドウカズヒコ]
1947年松山市生まれ。東京大学文学部西洋史学専修課程卒業。名古屋大学助教授、東京大学大学院教授をへて、現在、立正大学教授(西洋史)、東京大学名誉教授。専攻、イギリス近世・近代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こきよ
59
余談は多いが概ね通史としては成立している。英国史とは即ちイングランド史であるという点においては認識を異にするが。中近世及び現代史の世界史に於ける重要度は高く記述的偏りも致し方無しか。2016/07/18
Miyoshi Hirotaka
39
征服された記憶が言葉に残る。牛は野良にいればCowやoxだが、領主の食卓に上ればbeef。農民のメシはmealで領主のご馳走はdinner。イギリスの世界デビューは16世紀。その原動力は、ロンドンへの人口集中、統一国語としての英語の普及、政治文化、教会と信仰。とはいえ、当時はまだ弱小国。仮に無敵艦隊に敗れていたら世界史の舞台から消えていた。ヴィクトリー号がコンスティチューション号(米)や戦艦三笠とともに世界三大記念艦として永久保存されているのは、歴史上重要な海戦に参加し、国の独立を保つのに貢献したからだ。2015/03/18
skunk_c
38
新書だが著者も書いているようにしっかりと時間をかけ、かなりかゆいところにも手が届く内容。ところどころ映画や小説のワンカットが入ったり、日本との関係を意識したりと、関心領域が広がる。印象的なのは18世紀以降のステイツマンと呼ばれる政治家達。議会や選挙での論舌もあるが、なによりイギリスという「王国」のあり方を意識し、それを支える(本来的な意味での)保守政治家。その高邁な精神は、大衆化した現代(イギリスにも日本にもその他の国にも)に欠け落ちてしまったものかもしれない。そして彼らが受けた教育が教養的であることも。2019/05/23
Takayuki Oohashi
22
イギリスの歴史の入門書になれば、と思って図書館から借りて読んでみたのですが、読者置いてきぼりの専門用語の羅列のような記述ばかりで(「ホウィグ史観」とか)、飛ばし読みでした。ただ、近代資本主義の先頭を行っていたイギリスに対する対抗意識から、19世紀のロシアやドイツや日本で民族主義やロマン主義というものが生まれたという記述が、「反西洋思想」を読んだ時の記述を裏付けていて、それが収穫でした。あと、ヨーロッパの小麦価格を調べたF・ブローデルの紹介もあり、名著「地中海」を挑戦するきっかけになれば……と思っています。2016/08/22
かふ
21
日本と関わりが深く同じ島国だけど国としてはかなり違う。先に読んだ『フランス史10講』『ドイツ史10講』でもそうだけどヨーロッパの中の「フランス」や「ドイツ」や「イギリス」があって、民族(国民)としての国が出来たのは18世紀の市民革命の頃か。それまでの(それ以降も植民地支配があるけど)複合国家として王族たちの血縁関係(婚姻関係で連合していく)で支配して行った関係、そこには宗教も絡んでくるが、日本の単独国家(アイヌや沖縄があるけど)とは様相が違う。2019/10/20