出版社内容情報
ドイモイ(刷新)政策採用から二十余年。米国と国交を回復し、ASEAN、APEC、WTOへの加盟を果たして国際社会への復帰を遂げた今、ヴェトナムはどこへ向かっているのか。未曾有の戦争の後遺症を抱えながら、一方でグローバル化の波にさらされる中、ひたむきに幸福を求める人々の素顔に迫り、日越関係の明日を展望する。
内容説明
ドイモイ(刷新)政策採用から二十余年。米国と国交を正常化し、ASEANやWTOへの加盟も果たして国際社会への復帰を遂げた今、ヴェトナムはどこへ向かっているのか。未曾有の戦争の後遺症を抱えながら、一方でグローバル化の波にさらされる中、ひたむきに幸福を求める人々の素顔に迫り、日越関係の明日を展望する。
目次
第1章 戦争の傷跡
第2章 もう一つの「社会主義市場経済」
第3章 国際社会への復帰
第4章 共産党一党支配の実相
第5章 格差の拡大
第6章 ホーチミン再考
第7章 これからの日越関係をさぐる
終章 新しい枠組みを
著者等紹介
坪井善明[ツボイヨシハル]
1948年埼玉県生まれ。1972年東京大学法学部政治学科卒業。1982年パリ大学社会科学高等研究院課程博士。1988年に、渋澤・クローデル賞、1995年に、アジア・太平洋特別賞受賞。現在、早稲田大学政治経済学術院教授。専攻はヴェトナム政治・社会史、国際関係学、国際開発論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mitei
311
現代に向かうベトナム情勢がよく分かった。仕事柄ベトナムと関わるので興味を持った。いかにベトナム戦争が今のベトナム社会にも影を落としていることを知った。2017/03/31
かもめ(甘き絶望)
10
ひとえにベトナムという国について知りたくて読んだ。内容はベトナム戦争からホーチミン、ベトナムの共産党体制、今後の同国のビジョンなどで、ベトナムについて知りたいのならば格好の新書だと思った。感想としては、自分はベトナムは発展一直線だと思っていたのだが、戦争の爪痕、工業化にかかせない製鉄所や石油プラントの未整備、汚職の多さ、ODA事業の頓挫など、負の側面も多いのだと知った。50年前戦争の只中にあった国は、今や日本の高校生の修学旅行先になっている。国際情勢は水物だと深く感じる。2019/09/25
masabi
9
ヴェトナムがいかに歴史を歩んで来たか、どう進んでいこうとするのか。アメリカとの戦争、国際社会からの孤立、復帰、地域大国としての復権。日本のODAはIT教育には依然として対応しておらず、また工事でも各種検査に時間がかかり迅速化が求められ、汚職を助長する一因になるなど問題点が多い。ASEAN諸国での日本の影響力が低下しており、現在では中国が幅広く影響力を持つ。2014/04/16
Lily603
8
大学の授業でベトナムへ行った時に読んだ本。ベトナムの経済・政治について概説しているとともに、ベトナムの人々に多大な影響を与えているホーチミンの思想についても考察していてバランスが取れている印象。ベトナムに行く前に読むことをおすすめする1冊。2014/09/28
jj
6
2008年刊。ドイモイ政策採用から20年経過してかあのレポート。ASEAN WTOへも加盟完了し、社会主義市場経済を導入し、共産党一党独裁の課題を抱える。中国同様市場経済導入で国民間の格差は拡大いている。中国の人件費高騰を受け、企業のヴェトナム移転は進行している。将来、共産党一党独裁による市場をコントロールするというの弊害が顕著となるかもしれない。規模は小さいが、第二の中国とならないことを期待したい。2019/10/23