出版社内容情報
機知に富む会話の楽しみ、家族や知人との交わりの明暗、金銭が引き起こす悲喜劇・・・。人の世の諸相と賢く生きるための知恵を落語の中に探る。「寄席が最高の教室だった」と断言する著者ならではの、思わず頬がゆるむ異色エッセイ。
内容説明
「私にとって、落語は人生の教師役、寄席が最高の教室だった」。そう述懐する著者が、出会いと別れの明暗、機知に富む会話、愚かしくも愛すべき人間像など、人の世の諸相と人生の知恵を数々の落語の中に探り、柔らかな筆致でつづる。落語に精通する著者にして初めて可能な、生きることの意味を笑いの中に照らし出す異色のエッセイ。
目次
1 命あっての(出生;命名;聴覚;便所;医事療法;葬列;墓碑銘;幽霊)
2 渡る世間に(親と子;親孝行;勘当;読み書き算盤;耳学問;国訛り;京都人気質)
3 金は天下の(金銭;吝嗇;虚言;蚊帳;電話;傘;時刻;裁判)
4 遊びをせんとや(雑俳;茶道;義太夫;競馬;古典;旅;遊郭)
著者等紹介
矢野誠一[ヤノセイイチ]
1935年東京生まれ。演劇・演藝評論、評伝、エッセイを執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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稲岡慶郎の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
78
落語は若かりし頃志ん朝などを中心にして結構聞いたりしていました。また数多くの落語の本も読んだりしていました。この本はそのような落語についてのエッセイで、それぞれ分野別に分けての落語が結構人生勉強に役立つことを教えてくれます。身の回りのことが多く日常のことでもあるということで老若男女関係なく楽しめます。2015/10/02
ビイーン
14
落語を題材にしたエッセイ。「学校じゃ教えない」幅広い雑学が書かれている。落語の話は半分以下かな。2015/11/15
Satoshi
7
最近、落語を再び聞き始めている。関西出身で上方落語に思い入れがあるので、関東では上方落語をあまり高座でやらないのを不満に思っているうちに興味が無くなってしまった。しかしながら、改めて聞けば、江戸落語も面白い。本書は落語に登場する設定や人物の豆知識をたくさん紹介してくれるお得な作品だと思う。2019/05/18
まんまる
1
他では書かれていないような落語の説明があって勉強になったが、如何せん言葉が難しかった。2025/01/22
うみ
1
全てに目を通せませんでしたが、印象に残った言葉をメモ。 晩年の八代目桂文楽の言葉「近頃、めっきり耳が遠くなりましてね。なに、きこえなくてもかまやしません。この年齢になりますと、たいていのことはきいてしまって、いまさらきかなければならないことはほとんどない。」 年をとり、耳の機能が低下したことを、使いきった末の自然の摂理だと考える。そうすれば、若い人たちの会話に加わることができなくても、無駄ないらだちを覚えることもない。私もこんな上手な年齢のとり方をしたいな。2016/11/14