内容説明
「人間のつくる社会は、千年という単位の、巨きな曲り角にさしかかっている」―転換の時代にあって、世界の果て、歴史の果てから「現代社会」の絶望の深さと希望の巨大さとを共に見晴るかす視界は、透徹した理論によって一気にきりひらかれる。初めて関心をもつ若い人にむけて、社会学の「魂」と理論の骨格を語る、基本テキスト。
目次
序 越境する知―社会学の門
1 鏡の中の現代社会―旅のノートから
2 「魔のない世界」―「近代社会」の比較社会学
3 夢の時代と虚構の時代―現代日本の感覚の歴史
4 愛の変容/自我の変容―現代日本の感覚変容
5 二千年の黙示録―現代世界の困難と課題
6 人間と社会の未来―名づけられない革命
補 交響圏とルール圏―「自由な社会」の骨格構成
著者等紹介
見田宗介[ミタムネスケ]
1937年東京に生まれる。東京大学名誉教授、共立女子大学教授。専攻は現代社会論、比較社会学、文化の社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐島楓
38
「入門」にしては、独特でレベルが高いぞ、とひるみながら読んだ。社会を考えるということは、自分の生き方もかえりみることなんだ。2015/07/21
おさむ
32
先日、逝去された社会学の泰斗、見田宗介さんの著書を初めて読みました。思っていた通り難解です‥‥。興味深く読んだのは、柳田國男の造語である「天然の禁色」。日本人は派手な色彩をわざとくすみをかけて地味にする。制度的な禁止でなく自主的な抑制であること、計算ずくの結果でなく、感覚的なコントロールであること。こうした日本の民衆の自発的・感覚的な心性の中に、良い社会をつくる力を見出そうとしたから、官僚の地位を捨てて民俗学の研究に専心した。権力が法令で制度を作るのではない、という強烈なアンチテーゼですね。2022/05/07
たばかる
31
大学での敷居の低い講義のまとめ。そのせいか具体例→理論の流れが分かりやすくまとまっている。内容は戦後日本や自己観、宗教など広めの題材を糸口にウェーバーやロレンスの言を借り現代社会の概形を構築するものになっている。◇Symphonicを交響的と訳出したのは初見だったので違和感を覚えた。◇近代の核家族が示すような共同体の解体に対する指摘もされていて、そういった<微分化された共同体>は生産的な主体の再生産の装置として機能するが、そうした主体は先の主体を最先端するように動機づけられてはいない、という簡潔な矛盾表現2019/09/06
スパイク
22
よかった。「社会学」という学問ではなく「社会」(関係としての人間学)の学問の書。「関係」という語ることのできないことをあえて論理的に語ろうとしている(が抽象的な表現も多くある)ため入門書とはいえたいへん難しいことが書いてある。馬鹿な私には、きちんと理解できなかったが、それでも何かが伝わってきた。問いの根には「どう生きたらいいか。」があって、それを二つに分けると「どうせ死ぬ。⇒虚しい。」と「自分と他者との愛と抗争⇒自己とは他者である。」になるのだが、そんな答えのない問題に果敢に挑戦!2014/07/24
ゆう
20
社会学とは、人間同士のあるいは人間と非人間との関係性の総体を扱う学問である。という認識で合っているだろうか。大学の一般教養で行っていた講義の内容をベースにしているらしく、取り上げられるテーマや方法論は多岐に渡り、社会学という学問がカバーする領域の広さがよく理解できる。補ではこれからのありうべき社会のために、他者と共生していくことの可能性が探られる。そこには柄谷のいう交換様式Dや、國分功一郎が取り出した中動態というキーワードが重なってくるように感じた。ついにそれは到来するのか。2024/11/10
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