出版社内容情報
地震や風に強い木造住宅とはどんなものか.唐招提寺金堂や東大寺大仏殿に見られる伝統の技,現代木造住宅の基礎知識とすぐれたポイント,世界の構法を紹介.木造建築のすばらしさを再評価し,さまざまな課題を考察する.
内容説明
地震国の日本に最適といわれた木造建築に、阪神・淡路大震災は大きな疑問を投げかけた。ほんとうに弱いのか、地震や風に強い木造住宅とはどんなものか。唐招提寺金堂や東大寺大仏殿に見られる伝統の技と補強技術、現代木造住宅のすぐれたポイント、さらに世界の構法を紹介しながら、木造建築のすばらしさと克服すべき課題を考える。
目次
1 復活する大規模木造建築―空白期はなぜ存在したか
2 天平の甍の秘密―日本の伝統構法のしくみ
3 在来軸組構法―そのなりたちとしくみ
4 世界の木造建築―その多様性
5 自重は小さく強度は大―木材の基礎知識
6 現代木造住宅に余力あり―木造住宅の耐震性
7 木造住宅を診断する―耐久性・地盤・耐震診断の基礎知識
8 さまざまな課題―木造建築は現代社会の鏡
著者等紹介
坂本功[サカモトイサオ]
1943年徳島県生まれ。1971年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。建設省建築研究所、東京大学工学部助教授を経て、現在、東京大学大学院工学系研究科教授。専門は建築構造学、耐震工学、木造建築
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感想・レビュー
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ビイーン
21
古来の木造建築の歩みが構造的な観点から述べられている。東大寺大仏殿や五重党の補強方法には関心した。2017/04/02
YJ
2
面白い。2016/12/31
かわむー
1
木造建築界隈について多面的に論じておりとても新鮮で面白かった。例えば、五重塔は真ん中の通し柱のたわみによって地震の振動を緩和しているという風説について、そこまで緻密な耐震性を計算しながら、一方で地震より頻度の多い災害である台風に備える耐風性を全く考慮しないのはおかしな話だ、とする反論には思わず膝を叩いてしまう。面白く読ませていただいたけれど一つ残念だったことは、この本が出てから15年経つ今も木材にまつわる課題があまり解消されておらず、未だにこの本の内容が時代遅れでないこと。なかなか厳しい業界だと思った。2014/11/10
おにく
1
これは面白い!法隆寺の心柱や、正倉院の校倉造りなど、教科書で習った事が実は間違っている…なんて。詳しくは本編をみてもらえばわかるが、面白い、2013/02/17
masanyan
0
ちょっと古い本になるが、その内容は今でも色褪せていない。日本の木造建築は伝統文化とテクノロジーとのせめぎ合いなので、さまざまな立場の人の葛藤がありその分奥が深い。政治的経済的背景があるなか、あまり深く入りすぎずうまく説明していると思う。一般の人向けの本なので、一度手にとって読んでほしい。2015/01/29
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- 和書
- 教誨 小学館文庫