出版社内容情報
波乱に富んだ人生を送った太宰治は没後50年を迎える.多くの,特に若い読者を引きつけ続けた作品群は,いま私たちに何を問いかけるのか.『女生徒』『斜陽』等の多様な〈語り〉の魅力,『お伽草紙』『人間失格』などに響く人間賛歌を,誠実な〈読み〉から導き,確かな構成力と洒脱な精神を併せ持った作家・太宰の姿を,時代を追って描く.
内容説明
波乱に富んだ人生を送った太宰治は没後五十年を迎える。多くの、特に若い読者を引きつけ続けた作品群は、いま私たちに何を問いかけるのか。『女生徒』『斜陽』等の多様な「語り」の魅力、『お伽草紙』『人間失格』などに響く人間賛歌を、誠実な「読み」から導き、確かな構成力と洒脱な精神を併せ持った作家・太宰の姿を、時代を追って描く。
目次
序章 いま太宰を読むこととは
第1章 作家・太宰治の誕生まで
第2章 生きて行くために、書く
第3章 「美談」の造形
第4章 動く「私」
第5章 戦時下の自在
第6章 元気な女たちと「父」
第7章 さらなる人間悲喜劇へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
52
レポート用の読書。太宰は、計算高い作家だった。2017/06/17
青蓮
52
記念すべき300冊目。太宰治は好きなのですが、彼の作品以外はそんなに読んだことがなかったので、改めて太宰作品をどう読んだらもっと深まるのかなぁと思い、手に取りました。本書は太宰作品を前期、中期、後期にわけて作品を引用しつつ解説したもの。本書を読むことで何となくですが、太宰治という文学思想の輪郭を掴めたかなぁと。また桜桃忌に向けて彼の作品を読み返したいです。あと、全集が欲しくなりました。2015/05/05
ヒロミ
22
平易でわかりやすい文章で語られる太宰治入門書。正にビギナーの私にはネタバレ(?)があったりしてちょっと困りましたが、細谷先生の太宰文学に対する熱意が伝わってくる良書だと思います。太宰を初期・中期・後期に分けて重要作品を解説する…といった流れの本です。たしかに太宰の中期の作品は破綻もなく優れていますが、ギザギザした初期、エキセントリックな後期作品も好きです。「お伽草子」と「惜別」はどうしても読む気が起きないのですが、いつかトライしてみたいです。2015/06/04
さこちゃん
9
作家太宰治の生涯を、その作品への著者の解釈を元に順に辿る。小説を深く理解するには、その作家の事をわかっていなければならない。太宰治の理解が深まりました。私が太宰作品の好きなところは、こちらに話しかけてくるような文体と、音読してよくわかる、気持ちよく流れる文章と、皮肉の効いたユーモアです。太宰本人の好きなところは、書くこと生きることのもがき苦しみを、包み隠さず自虐的に表現しているところです。まだまだ未読の作品達を読むことが、とても楽しみになりました。2016/05/04
ギーにょ
7
今まででたくさん太宰治の作品を読んできたが、本書のように太宰治について書かれている本はなんだか敬遠していて初めて読んだ。愛のこもった解説書といった感じ。太宰治を肯定的に好きな人が書いている感じで少しホッとしました。自分の中では太宰治って大好きだけど、嫌いな感じ…こういうものを時々読んで、太宰治の作品の吸引力に吸い込まれないようにしようと思う。2015/01/14