出版社内容情報
後醍醐天皇寵妃の阿野廉子,悲劇の佳人後深草院二条,「尼将軍」北条政子,ならびなき権勢を誇った日野富子,秀吉の糟糠の妻ねね,等々――中世を彩った女性群像をちりばめつつ,公家・武士・庶民の妻そして尼僧の姿を描きだしていく.母性・家政・性愛をめぐって縦横に展開される数々のエピソードはまことに興味深い.
内容説明
後醍醐天皇寵妃の阿野廉子、悲劇の佳人後深草院二条、「尼将軍」北条政子、ならびなき権勢を誇った日野富子、秀吉の糟糖の妻ねね、等々―中世を彩った女性群像をちりばめつつ、公家・武士・庶民の妻そして尼僧の姿を描きだしていく。母性・家政・性愛をめぐって縦横に展開される数々のエピソードはまことに興味深い。
目次
序章 王朝文学の女性像
1 公家の女房
2 武士の妻たち
3 尼僧の生涯
4 女商人と庶民の生活
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
jamko
7
日野富子が悪女と呼ばれることについて〈男がつねにやってきた政治権力悪を、女がもっと強烈にやったから、男よりも悪くいわれたにすぎない〉とあってほんとそれあると思う。ついこないだのプロファイラー北条政子回でもこの2人が三大悪女と言われてた。政子、富子、寿桂尼、ねねら実際に権力を持ち、のちに悪女と呼ばれる武士の妻たち。『太平記』でやたら悪く書かれた寵姫・阿野廉子や院の寵愛を失いながら『とはずがたり』を残した後深草院二条ら公家の女房たち。独特すぎる世界で生き抜く女たちの生き様はどれも興味深い。2020/12/31
おらひらお
7
1995年初版。前近代社会では男女差よりも身分差のほうが強く、同一身分のなかではじめて男女差が顕現するという著者の認識の下に、中世の身分別に女性の位置づけを概観したもの。個人的には庶民の生活の話が面白かったかな。酒造りにも多くの女性が関わっていたことも指摘しています。2012/02/17
吃逆堂
3
1995年刊行。女性史でもあるがジェンダー史でもあり、近年視座の進展の著しい分野だが、その視点、問いかけ、論じ方は今読んでも色あせていないように思う。「「家」そして「女性」の問題を考えるために役立ち、未来への展望になれば幸い」とあるが、90年代のバックラッシュを経て、停滞・後退こそすれ進展のしていない現在の社会状況を考えざるをえない。2021/03/19
raimu
2
第二章まではきちんとまとまっていたが、それ以降は散漫な印象を受けた。中世の尼僧や庶民の女たちについての話は興味深かったのでちょっと残念。2011/08/15
史縁
1
公家の女房、武士の妻たち、尼僧、女商人と庶民それぞれの女性たちの各階層の女性たちを取り上げる。 中世で結婚をして「家」を形成できる人は少なかった。中世に生きた女性は、「家」の妻だけではなく、尼になって僧籍に入る女と遊女や白拍子など芸能にたずさわる女と三分割される。北条政子、日野富子他、能狂言説話に現れた妻たちも取りあげ、母性・家政・性愛をめぐって縦横にエピソードが展開される。中世の女性たちの姿がうかがわれて興味深い。 2024/06/22