出版社内容情報
日本語とはどこに起源を持つ言葉なのか.旧版(一九五七年刊)では答の得られなかったこの問いに,数多くの単語,係り結びや五七五七七の短歌の形,お米や墓などの考古学的検証,さらにカミ,アハレ,サビなど日本人の精神を形作る言葉の面から古代タミル語との見事な対応関係を立証して答え,言語と文明の系統論上に決定的な提起を行う.
内容説明
日本語とはどこに起源を持つ言葉なのか。旧版(一九五七年刊)では答の得られなかったこの問いに、数多くの単語、係り結びや五七五七七の短歌の形、お米や墓などの考古学的検証、さらにカミ、アハレ、サビなど日本人の精神を形作る言葉の面から古代タミル語との見事な対応関係を立証して答え、言語と文明の系統論上に決定的な提起を行う。
目次
第1章 同系語の存在(探索のはじまり;探索の方法;南インドのタミル語を選択する;単語の対応―語根の比較;文法の比較;五七五七七の韻律)
第2章 対応語と物の世界(稲作のはじまり;墓と墓地;グラフィティと記号文;金属の使用;機織のはじまり)
第3章 対応語と精神の世界(生活の慣習;精神の世界の支点;精神生活の根幹)
第4章 南インドの言語・文明と日本・朝鮮(日本語とタミル語の同系;私の説に対する質疑)
著者等紹介
大野晋[オオノススム]
1919年、東京に生まれる。1943年、東京大学文学部国文学科卒業。専攻、国語学。現在、学習院大学名誉教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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山口透析鉄
13
大野晋先生は正真正銘の大学者でした。日本語の起源、この方なら見つけるかもと感じましたし、大学者の直感は馬鹿にならないでしょうし。 ただ古代タミル語やドラビタ語との日本語の関係については専門家からの論駁もあったりで、やはり大学者とはいえ、集合知には敵わない部分もあるなぁという思いもしますが、文化人類学的なアプローチは非常に興味深いです。 インドネシアとマダガスカルの言葉の相関性の例が他の著書では取り上げられていましたよ。1999/12/06
tama
11
図書館本 友人の「日本語手話と日本手話」の話から原日本語に興味が広がり。本は面白かった。気になってY染色体ハブロGの内容を確認した。そしたらこの方の理論は染色体の事実と二つの意味で合わないのが分かった。①欧州系でインド南端でもまあまあ見つかるR種は日本含む東アジアではゼロ。日本・朝鮮・東南アジアで非常に多いO種は、インド南端ではゼロ。②日本固有のD1bは5万年前に日本に来たインド南端ではない染色体の連中で縄文後期ではない。この本の執筆時、ミトコンドリア・イブもY染色体アダムもまだだったから仕方ない。2015/11/12
とんこつ
8
漢字が日本に流入するよりも遥か昔の日本ではどのような言葉が話されていたのか。本書は原始日本語の起源が遠く7000キロ先にある南インドのタミル語にあるという大胆な自説を提唱する。基礎語の対応、生活様式、精神生活に係る言葉の対応などを多角的に検証し、日本は南インドから言語的影響ならびに稲作や金属器、機織などの文明を輸入したのではないかと結論づける。地政学的な条件を鑑みて、古代から日本には中国大陸、オーストロネシアの黒潮文明、そして南インドからのマリンルートなどの影響があったことは大いに考えられるだろうと思う。2018/06/25
takeapple
8
日本語タミル語起源説をわかりやすく解説。批判が多いタミル語起源説だが、それなりの説得力もある。特に交易に来ていたピジン語の影響はあるのではないだろうか。大野さんの学問への姿勢や辞書もとっても好きだ。2012/03/22
isao_key
8
国語学者大野晋先生の日本語の起源をめぐる著名な書。新版では、日本語とタミル語の類似点を挙げ、タミル語が日本に影響を与えたと仮説を立てる。学説では批判が多いようで、批判点として、抽出した単語が無作為ではなく、日本語と対応している単語のみ集めているなど。ただし本書を読むと、とても誠実かつ丁寧に説明している。漢字が日本語に果たした重要な役割について、漢字を媒体として日本に仏教と儒教を導入したことを挙げる。日本の仏教はすべて輸入された漢字の経典(漢籍)の読誦を通して学習された。儒教は思想と倫理の骨組みをに与えた。2017/02/21
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