出版社内容情報
インド・ヨーロッパ(印欧)祖語の話し手たちはいつどこに生活し,どんな文化をもっていたのか.この先史時代の謎は言語学者はもとより民族学や考古学の分野の人びとをも把えてはなさない.印欧比較言語学の第一人者が「故郷問題」をめぐって展開した学問とロマンと政治の熱いせめぎあいを興味ぶかい研究史として語る.
内容説明
インド・ヨーロッパ(印欧)祖語の話し手たちはいつどこに生活し、どんな文化をもっていたのか。この先史時代の謎は言語学者はもとより民族学や考古学の分野の人びとをも把えてはなさない。印欧比較言語学の第一人者が「故郷問題」をめぐって展開した学問とロマンと政治の熱いせめぎあいを興味ぶかい研究史として語る。
目次
第1章 印欧語の故郷の探求―「ぶな」と「鮭」をめぐって
第2章 南東ヨーロッパ説をめぐるナチス時代の確執―ゲルマン派対反ゲルマン派
第3章 考古学からの新しい提案―クルガン文化と近東説をめぐって
第4章 方法論的な反省―接触と移動の痕跡
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
讃壽鐵朗
6
かなりの言語学の知識が無ければ理解が難しい本だが、何事でも源を探ることの面白さを感じさせてくれる。2016/04/09
takao
2
(著作)言語学の誕生 岩波新書 だこ ・印欧語の故郷はナチとも絡んで政治問題化していた。 2021/04/07
Omelette
2
言語学がヨーロッパで誕生して以来、その関心は長いあいだ印欧祖語にむかって集中していた(その歴史については同じ著者の『言語学の誕生―比較言語学小史』に詳しい)。本来、祖語は、諸国語の関連をときほぐし、それらをうまく説明するための理論的仮構物だったが、歴史家の興味はそこに留まれない。印欧語という一言語が存在したと考えられる以上、それを話した人々がそこにいたはずだ。彼らこそ「自分たちヨーロッパ人」の文化の源流、ご先祖様にちがいない。あの手この手で過去の幻をえようと四苦八苦する姿がいじましい2010/02/06
メコノプシスホリデュラ
1
再読。相当前に一度読んだ。印欧祖語(言語学の概念、理論的に祖語を仮定し推論したもの)の研究史を詳述している。単語が山ほど出てくるので丁寧に咀嚼するには相当時間がかかるが、きちんと整理しノートにまとめながら再再読したい。せめて馬や車輪の語の変遷については。でもここ10~20年の考古学、人類学の進歩を取り込むとどうなるのか。新しい学説はある?というかメソポタミア周辺、アナトリア、カスピ海、黒海あたりの人類の展開と重ねて、人類史関係の本と共に詳読できたらいいな。人類史と言語の発祥と展開は今一番の関心事。2025/08/09
よしおか のぼる
1
比較言語学の人達、凄いなー。知識量が格段に違うもの。2019/09/03