岩波新書
ニーチェ

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 228,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004203612
  • NDC分類 134.9
  • Cコード C0210

出版社内容情報

西洋の理性中心主義とキリスト教道徳を容赦なく批判し,力への意志,神の死,永遠回帰を説き,生は認識を通じて美となるべきことを主張したニーチェ.ハイデガーからドゥルーズ=ガタリまで,彼なくして二十世紀思想は語りえない.『ツァラトゥストラ』など深い孤独の思想を読み解き,彼の批判が現在の状況とどう関わるかを考える.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夜間飛行

64
ニーチェの幼年期を彩るプロテスタンティズムは、近代倫理の礎石だが、抑圧的なイデオロギーでもあったらしい。彼に影響を及ぼしたギリシア回帰の思潮も、実際面では権力を補強する材料に過ぎなかった。そういうドイツ的教養に身を鎧った知識階級に背を向けていくニーチェの気持は判る気がする。私は高校時代に安吾の「文化は今生きる生活の中にしかない」という考えに共鳴し、やはりその頃読んだツァラトゥストラに通じるものを感じたが、本書を読むと、鞭打たれる馬を抱きしめたニーチェと、愛犬と死闘を演じた安吾はやはりどこか似ていると思う。2015/07/06

harass

51
当時の時代背景など彼に影響を与えた19世紀ドイツ思想や後の影響など。彼の思想自体については軽く流してある。フーコーなど現代思想に受け継がれた彼独自の批判精神についてが詳しい。19世紀のドイツ統一と好景気に浮かれる『メッキ文化』の虚妄をニーチェは指摘している。気になる研究者で初めて手に入れたが、似たような他の本と違う視点の本だった。おすすめ。ツァラトゥストラの第一部は10日で書かれたというが、遺稿を調べるとそれは誇張なのだそうだ。2017/03/08

ころこ

40
手堅いが、読んでもニーチェが言わんとしていたかは本当のところ分からない。なぜなら、ニーチェの学問からドロップアウトした先にみえた「真実」に対して、学問的に掬い取ろうとしているからだ。ここで問題になっているのは「分かる」ということだ。著者にはニーチェに対する無意識の反感を感じる。著者は本書を書くことで、ニーチェの言ったことを「分かる」ことを拒否するために書いているのではないか。単なる理解不足でない、質を保持した意地悪い証明である。本書に書いていないことが、ニーチェとは何であるかという皮肉な構成になっている。2023/01/13

空箱零士

13
超人だとか力への意志だとか神の死だとかであまりに有名すぎて良かれ悪しかれ多様過ぎる読み方が出来てしまうニーチェを、その魔力から一旦距離を置いて哲学史的に整理した一冊。近代の学問・社会の啓蒙思想への批判者としてのニーチェが紹介されており、安易なアウトサイダー的理解とはまた違った姿が描かれている。一見進歩的にも思われる近代思想を〈力への意志〉に連なる支配の一形態と見なす一方で、〈力への意志〉それ自体には変革にも連なるディオニュソス的美も見出す。ただ〈永遠回帰〉は概念自体の混乱故か意味が分かりかねる部分がある。2015/07/29

bibliophage

7
久しぶりにニーチェ。わかりそうでわからない。とりあえず、悲劇の誕生を読んでみたい。理性的であらねばならないのかが論証されえないというのが印象的。認識の立場から、一切の価値判断や理想のうちに働く力への意志を暴いた。永遠回帰:完全に認識と化し、世界の美を増大させる瞬間の経験こそがこの人生を今一度生きるに値するものにさせてくれる,大いなる正午の一瞬さえあれば、人生は生きるに値する、生は肯定しうる。永遠回帰を体現しうるようになった者は超人となる。ニヒリズムは従来の最高の価値がその価値を失った状態である。2017/09/10

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/17966
  • ご注意事項