出版社内容情報
古来,人びとは労働をただ「生活のための労苦」とだけ考えてきたわけではない.自然や超越者とのかかわりで,さまざまに意味づけて働いてきた.本書は,主要な労働観の系譜をたどり,その流れの中から,哲学的宗教的な見方をこえた科学的労働理論がいかに形づくられてきたかを明らかにし,その思想的遺産が今日にもつ意味を考える.
内容説明
古来、人びとは労働をただ「生活のための労苦」とだけ考えてきたわけではない。自然や超越者とのかかわりで、さまざまに意味づけて働いてきた。本書は、主要な労働観の系譜をたどり、その流れの中から、哲学的宗教的な見方をこえた科学的労働理論がいかに形づくられてきたかを明らかにし、その思想的遺産が今日にもつ意味を考える。
目次
序 人間にとって労働とは
1 労働観の系譜
2 社会的労働の理論
3 人間疎外と労働
4 現代社会と働くことの意味
結び 補論的対話
著者等紹介
清水正徳[シミズマサノリ]
1921‐2004年。専攻は哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
23
どうも古本屋から調達した感じがする。若干の薄い赤鉛筆を引用。労働:人間が自分と自然との物質代謝(Stoffwechsel)を自分自身の行為によって媒介し、規制し、制御するような人間と自然との一過程である(20頁)。本書を通じて、如何に、多くのものからの疎外が社会的に起きているのか、 愕然とさせられる。こうした各種疎外からどう救済されるべきなのか? 現代の読者にも鋭く問われることが多いと思う。2015/05/25
まさげ
9
一度読んだだけでは理解できない内容でした。 西洋と東洋の労働観の違いは面白かったです。2025/03/30
オザマチ
8
プロテスタントの思想や資本主義の考え方も盛り込んで…が、通しで理解するのは自分には難しかった。2015/09/06
ゆき (Kou)
5
労働思想の系譜を辿る内容で、題から啓発的な内容と予想するといい意味で裏切られる。ヘーゲル・マルクスの「疎外」を骨子に据えた内容。難解な概念だが、意味の変遷も含めて、丁寧に説明されていてとても勉強になった。資本主義の発展により労働の分業化が促進され、労働はさらに細切れとなる。さらに、本来は労働者へ還元されるべき労働が、資本へと吸収されることで労働は年々耐え難いものと化してきている。この「支配する労働」が疎外の本質だ。 これに対する問題意識は当然であるがその対処の結果がソ連やユーゴスラビアというのは残念↓2016/05/25
Hisashi Tokunaga
2
10数年まえの読了。宇野学派の清水氏は、幅広に「労働」と間口を広げすぎて、切れ味が悪くなったようだ。(2013・3記)