内容説明
作中人物を殺さずにはいられない作家、一日おきにしかこの世に存在しない男、細君とその両親を射殺した夫、自分の銅像を見あげる不幸な発明家…など、マルタン君という名の多様なキャラクターが繰りひろげる九つの物語。空想と現実の間をさまよう、心優しい小市民の、哀しくもおかしい世界。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
91
よくもまあこんな話を思いつくものだ、と感じる奇妙な話が多い。2つの体を持つ人が住んでいる村の話とか、「分別」を配る素っ裸の子供が登場するクリスマス・ストーリーとか。一番の好みは冒頭の「小説家のマルタン」だった。登場人物を殺してしまう小説ばかり書いている作家マルタンの話。小説の登場人物が実際にマルタンのところにやってきて、何とかしてくれと文句を言うシーンはお腹を抱えて笑った。奇想天外なアイディアだけではなく、社会に溶け込めないアウトサイダーの悲哀を淡々と描いているところも良かった。 2014/02/21
ハルトライ
1
奇抜な話ばかりという、マルセル・エイメの才能が光る短篇集(半連作短編集、というべきか?)最初の「小説家のマルタン」の冒頭で、もうグッと来るわけだが、マルセル・エイメが面白いのは、設定もさながら、その最初に決めた設定から展開される物語自体が、かなり変わっていることである。ヘンテコ小説、というわけではないのだが、「あれ?普通、この設定でそういう話に持っていくだろうか?」と思うような不思議な方向に話が展開していくのである。これが面白さかなと思う。2014/10/11
Chunko
0
どれも妙なお話だった。肉体をふたつ持っている人の話とか、そうかと思うと一日おきにしか存在しない人の話とか。たしか「壁抜け男」書いた人だったと思うけど…1994/08/29