出版社内容情報
眼が見えない世界とは,決してすべて閉ざされた世界ではない.これは,点字教育を,たんに文章や手紙を書く手段としてでなく,自己の生活をみつめ,心情を豊かにし考えを深めていくためのものとした現場の一教師の実践記録である.その暗闇の世界から次第に人間的な明るさに導かれていく過程の中には,あらゆる教育の「原型」がある.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アナクマ
33
初版1961年。岐阜盲学校の児童たちが点字で書いた作文と、教諭経験8年分の思い。◉戦後しばらく。山村に赴き親族の説得から始まる教師の仕事。寮に住まわせ、全人的な支援の日々。児童の成長。例えば6年生「おかあさんは、自分の子供が白ステッキをもって歩くと、可愛そうに思えるのだろう。それはおかあさんの思いすごしです。ぼくたちは、いつまでも、先生やおかあさんにたよって歩くわけにはいきません。一人歩きのときは、どうしても、白ステッキがいります」◉織り込まれた瞽女や点字の歴史、「点訳奉仕者」「盲人の職業開拓」は要再読。2022/02/12
みのにゃー
3
私の通った小学校の細い道をへだてた向こう側に、この盲学校はあった。どんな子らがそこにいたのか、どういったことを学んでいたのか、どんな生活をしていたか、全く知らなかったので興味深く読む。この本によると少しは交流があったようだが(昭和30年代)。県立でありながら暖房設備が火鉢だけ。「同情より理解を」という言葉が刺さる。子供らの作文がいい。方言は懐かしい。少し前に、少し離れた場所に新しい盲学校が出来た。そこで学ぶ子供らに、生きていくための知識が身につくといい。あんま以外にも出来る仕事の幅がふえますように。2022/05/29
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