出版社内容情報
先進諸国から貪欲に学びつつ,原始から現代まで,社会と文明を断絶することなく発展させてきた日本の歴史は,世界史の中の一異彩である.この歴史の変革の原動力はどこにあるのか.他民族との共通性また特殊性はどんな点か.独自の歴史観に貫かれた,定評ある日本通史.上巻は鎖国まで,下巻は帝国議会の開設から.
内容説明
帝国議会の開設から、条約改正、日清・日露戦争を経て強大になった大日本帝国は、第一次大戦中新たな躍進をとげるが、それとともに国内外の諸矛盾が激化し、ついに中国侵略から太平洋戦争に突入、崩壊を余儀なくされる。この半世紀に及ぶ波瀾の歴史をダイナミックに描き、現代日本の歴史的位置づけを明確にして将来の展望に及ぶ。
目次
初期議会と政党―民権から国権へ
条約改正と日清戦争―圧迫された国から圧迫する国へ
資本主義の発展―官僚、資本家、地主、民衆
帝国主義への道―日露戦争と朝鮮併合
日露戦争後の内外情勢―帝国主義日本の政治の原型
世界資本主義の全般的危機―第一次世界大戦・ロシア革命と日本
民本主義・米騒動・原内閣―ボナパルチズムへの接近
日本帝国主義の危機―四大矛盾の展開
中国侵略―大日本帝国の崩壊(一)
太平洋戦争―大日本帝国の崩壊(二)
第二次大戦後の日本と世界―日本復興の二つの道
著者等紹介
井上清[イノウエキヨシ]
1913‐2001年
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感想・レビュー
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nobody
6
考えれば考えるほど、ドラえもんのどくさいスイッチの含蓄の深さは恐ろしい。悪の元凶はジャイアンのはずだった。だがスネ夫、モブキャラと独裁者は続く。それどころか多目くんと2人の世界になればのび太が独裁者となるのだ。ひょっとしたら、ジャイアンさえ消せばユートピアになるというのが共産主義ではないか。井上は「日本支配層」「日本の支配者」などというが、彼らをロシア革命におけるロマノフ王朝式に殲滅すべきというのか。むしろ逆に、井上は明治の近代化において民衆は文官武官または帝国議会の議員となって国政に参加できるようになり2023/01/22
かみかみ
3
明治中期~本書が世に出た1960年代まで。日本を欧米列強に並び立たせるとともに、破滅的な戦争へと至らしめた歴史のダイナミズムを概観できる。一貫してマルクス主義史観バリバリで記述も古めだが、端的で過不足なくコンパクトにまとまっている。2023/12/13
テプコにゃん
2
実証主義オタク的重箱の隅つつき的歴史記述がもてはやされる昨今にあってかういふ一本筋の通った壮大な通史読まされるとくるものある2021/06/23
ryuusetu
2
上中下と読んだが、下巻が一番良かった。作者の熱が感じられた。2012/09/17
2h35min
1
上中下3冊読むのに、5年以上かかってしまった…。1966年発行なので、今とはかなり認識は違います。資本主義の行き詰まりと、社会主義への期待が述べられている。 2010年代も資本主義は、行き詰まってるっちゃあそうなんだが…。2018/03/28