出版社内容情報
ヨーロッパの思想や制度を熱心に受け入れることにより,驚異的ともいえる近代化を達成してきた日本.それでいて,ヨーロッパとは何かについて,真に学問的な深さで洞察し,議論した書物は意外に少ない.本書は,ヨーロッパの社会とその精神の成り立ちを明らかにし,その本質的性格に迫ろうとする「ヨーロッパ学入門」.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
逆丸カツハ
31
やっぱり古いんだろうなぁ。どこまでの内容を飲み込んでいいのかはよく分からない。自覚していたが抽象的な理論ばかり追いかけて、人間を知らないということに向き合わないといけないなと思い始めた今日このごろ。歴史を知らなければという思いを少しづつ身に実感し始めている。2025/05/10
ステビア
19
ローマの滅亡からフランク王国の成立までを描くことで、ヨーロッパの存立構造を明らかにする。2015/10/30
ホークス
18
「勉強した」という感じだ。1967年初版の古い本らしく、大掴みで骨太である。きちんと根拠を示して仮説検証する姿勢も潔い。長所短所はあろうが、こうした瑣末な議論を軽々と飛び越す様な本も有って欲しい。内容的には、近世以降世界をリードしてきたヨーロッパ精神は、何故どの様に発生したのかという挑戦的なテーマが、まず素晴らしい。主にフランク王国を軸に解き明かしていくのだが、自分には新たな発見が幾つも有った。特にゲルマン民族大移動の実態や、ヨーロッパに根強い身分感覚の根っこに関する話は新鮮だった。2016/02/11
mitei
16
若干日本文化をけなしてたのはいただけないが欧州についての文化、いいところを紹介してたのがよかった。2011/02/21
nobody
14
新書の二特徴、「概説を述べるつもりはない」宣言と「周知の・有名な」の濫用は繫がっている。即ち肝心要の概説は周知として切り捨てられる。そして新書を多読すると接続詞には意味がないことと序論・本論・結論という立論は幻ということが判る。本書は序盤で立論整序の希望を抱かせたが、中世をヨーロッパの成立と看做す根拠はエイ、ヤッで、「土地領主の上にできてきた高次の支配単位」もエイ、ヤッ。期待させ糠喜びさせただけ余計に悪質ともいえる。同様に著者の目玉である〈辺境変革論〉(歴史発展の基点は中心地から辺境へとずれていく)も論拠2020/07/04