出版社内容情報
低く暮らし、高く思う──。高らかな理想と志をもって時代と向き合い、あふれる活力と情熱で事業に邁進した岩波茂雄(一八八一─一九四六)。稀代の出版人の生涯と仕事を「一番無遠慮な友人」であった哲学者安倍能成(一八八三─一九六六)が描写する。温かな人間理解と忌憚ない批判精神につらぬかれた評伝。(解説=十重田裕一)
内容説明
低く暮らし、高く想う―。高らかな理想と志をもって時代と向き合い、あふれる活力と情熱で事業に邁進した岩波茂雄(1881‐1946)。稀代の出版人の生涯と仕事を「一番無遠慮な友人」であった哲学者安倍能成(1883‐1966)が活写する。温かな人間理解と忌憚ない批判精神につらぬかれた評伝。
目次
第1篇 書店開業以前―明治十四年(一八八一)‐大正二年(一九一三)(郷里の生活;東都遊学;女学校の先生時代)
第2篇 岩波書店―大正二年(一九一三)‐昭和二十一年(一九四六)(古本屋開業―古本の正価販売;出版事業)
第3篇 社会生活(郷党への奉仕;政治的行動;時局に対する態度;日本降服後の活動;文化的奉仕)
第4篇 私生活(趣味好尚;交友;家庭生活;人間と終焉)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くり坊
1
岩波書店の創業者、岩波茂雄が、出版社をやる前は「古本屋」だったと聞いて、本書第二篇第一章「古本屋開業」を読みました。岩波は、32歳にて古本屋を開業している。その一文に「岩波の商売のやり方は、成るたけ高く買って、成るたけ安く売るというにあった」と書かれていた。これならば品物は集まるだろうし、そして、また売れもするだろう。品物の回転率が高い古書店ほど、良い商売をしている店だと聞いたことがある。岩波茂雄は、天性から「古本屋」に向いていたのかもしれないと、ふと思った。2023/10/14
石橋
0
読了済みの岩波茂雄伝記の元ネタ本。著者安倍能成は生涯を通じて岩波の近くにあった人なので、岩波茂雄の全てがわかる一冊。時に遠慮なく岩波の奢り好きについて「(熱海の別荘が本来の療養目的ではなく、饗応に使われたことについて)それは誰のせいでもない岩波のせいである」などと書いてるところが微笑ましい。2才違い。2023/09/13