出版社内容情報
伊藤博文,大隈重信,原敬,犬養毅,そして西園寺公望.五人の性格と行動を跡づけた伝記的エッセイ.(解説=松浦正孝)
内容説明
初代首相・伊藤博文、「民衆政治家」大隈重信、「平民宰相」原敬、挫折の政治家・犬養毅、最後の元老・西園寺公望―。五人の政治家の性格は、それぞれの運命のなかでどのような光を放ったのか。岡史学の精髄を伝える珠玉の伝記的エッセイ。
目次
初代首相・伊藤博文(その若き日;天皇制の定礎 ほか)
「民衆政治家」大隈重信(盛大を極めた「国民葬」;燦めく運命の星 ほか)
「平民宰相」原敬(「白河以北一山百文」;彷徨の後に ほか)
挫折の政治家・犬養毅(奇しき偶然;東洋趣味 ほか)
最後の元老・西園寺公望(風雲の中で;若き日のパリ ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
94
日本政治思想史がご専門の岡先生の5人の政治家についての論考です。岩波新書の先生の「山縣有朋」は既読ですが、この本は未読で堪能しました。伊藤博文、大隈重信、原敬、犬養毅、西園寺公望の人物像がよくわかります。またその政治的な使命などについての周りの状況などが活写されていて一般的な伝記というよりも読みやすい気がしました。また松浦正孝先生のよる解説もかなり読みごたえがありました。2025/03/06
ぴー
57
個人的に大変読みやすく、分かりやすい一冊という感想を持った。伊藤、大隈、原、犬養、西園寺の5名の政治家の人生、性格、心情が中心に書かれており、通史のような歴史書とは異なりテンポ良く読める。上記の5名は立場や価値観、性格は異なるが、それぞれ懸命に日本の政治を動かしていたことがよく分かった。特に、犬養のエピソードは印象に残る。何度も挫折を経験して総理大臣になった犬養の最後が書かれた箇所は、グッと来るものがある。初版はかなり古いが、現在でも通じる本だと思った。時間を空けてから、再読したいです。2025/02/03
どら猫さとっち
11
伊藤博文、大隈重信、原敬、犬養毅、西園寺公望。近代日本を代表する政治家5人の素顔と政治とは何だったか。東大名誉教授である政治学者が、彼らの素顔に迫った自伝的エッセイ。彼らはこの国の政治を作り出し、近代日本の社会と共に奔走した。時に彼らは悪者として、忌み嫌ったこともある。それにしても、本書を読むと、いかに現在の政治家は小粒であることが、否応無くわかる。2025/02/26
若黎
9
積読していたがようやく読了。西園寺公望さんに興味があって買ったが、印象に残ったのは伊藤博文さんだった。明治天皇に忠誠を尽くす、公と私は分ける。至極真っ当に日本のことを考えていた政治家だったのだろう、と思う。で、当初目的の西園寺公は政友会総裁も首相もやる気ナシナシな感じだったが、元老としては政党政治を守ろうとしていた模様。ではなぜ政友会総裁や首相時に、もっとなんとかしようと思わなかったのであろうか。私の理解不足だろうが、よくわからない部分だった。2021/04/17
politics
8
伊藤博文・大隈重信ら五人の近代日本の政治指導者の伝記。各政治家の政治的な履歴を一瞥しながらその性格や私生活での行状などもふんだんに盛り込みながら描かれる。原と大隈の評価が少し似通った内容など不満はあるものの、全体として優れた伝記ものになっているものと思われる。また松浦氏の解説も御進講時の草稿などからいかにして本書が出来上がったのかを丹念に迫っており、陸奥宗光に岡が興味を持っていた点など、削られた部分も大変魅力的なことが分かった。2022/08/29