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岩波文庫
アルゴールの城にて

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  • サイズ 文庫判/ページ数 200p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003751282
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

内容説明

20世紀フランス文学において特異な存在感を誇るジュリアン・グラック(1910‐2007)のデビュー作。舞台は海と広大な森を控えてそびえ立つ古城。登場人物は男2人と女1人。何かが起こりそうな予感と暗示―。練りに練った文章で、比喩に比喩を積み重ね、重層的なイメージを精妙な和音や不意打ちの不協和音のように響かせる。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

338
現代文学とはいうものの、全編を19世紀的なロマン主義の香りが濃密に覆う。そもそも物語の舞台は、ケルトの妖精たちの影が揺曳するブルターニュの深い森の中にあるお城。そこにはいつも霧が立ち込めている。それを装飾するのはワーグナーの「パルシファル」に描かれる聖杯伝説だ。さらには『ローエングリン』の面影も『指輪』の「神々の黄昏」もが物語の世界に影を落とす。登場人物たちの会話文がないがゆえに、物語世界には奇妙な静かさが横溢している。これは、つまりは作家の個的な幻想なのだろう。ブルトンが評価するのも、あるいはそれ故か。2018/02/03

えりか

61
会話のない文章と、圧倒的な風景描写。まるでモノクロの無声映画をみているよう。比喩に比喩が重なり混乱しそうになるけれど、その美しい描写は夢の中にいるような感覚だった。古城と広大な森を舞台に二人の男と一人の女がいる。それぞれの思いが交錯しながら、いつかなにか良くないことが起こるのではないかと不安で陰鬱な気配が漂う。男と女が出かけるのを城の窓から覗きみるもう一人の男、ピアノを不快なほど無造作に叩く男、裸で水を浴びる美しい女。官能と不穏に包まれることによる陶酔。麻痺を起こしそう。2017/04/02

市太郎

58
比喩に比喩を重ねた文体と、どこか無機質な舞台で始まる会話の無い演劇に初読とはいえ、そもそもストーリーと言えるものがあったのかさえ定かではないが城へと導かれる主人公とその友とその連れの女性と、三角関係の役者は揃い舞台装置がかちりと作動しやがて始まる戯れに靄の中にその夢幻的な道なき道を恐る恐る進んでいるような、しかし夢中になって読まずにはいられないような流麗さに、時々我に返るが時すでに遅し、私は城の一部に吸収され、逃れる事は叶わず屈服したのでしたが、一編一編を大切に読みたい人で、幻想小説好きな人にお薦めです。2014/01/27

HANA

57
台詞は一切無く、登場人物も三人。それでも溢れるような文章と比喩に次ぐ比喩で一つの世界を作り上げている。兎に角文章に圧倒され、読むというよりは文字で作られたタペストリーを眺めているような気分にさせられた。はしがきや解説から連想させられるのはやはりゴシック小説だけど、ゴシック小説自体がストーリーの奇想や登場人物の行動で読ませるのに対し、こちらはストーリーはありきたりながら、兎角文章の力だけで強引に雰囲気を作り出している。とすると、これやっぱりゴシックのパロディなのかなあ。兎に角濃い文章に酔ったようになった。2014/07/10

みっぴー

45
まず、会話が無いです。そして全く理解不能です。アルゴールという城に来たアルベールと、その友人二人。泳いだりピアノを弾いたりするのですが、それでもやはり会話が無い。それと、情景描写がとてもくどいです。例えば、風が吹いたとすれば、やたら装飾語を書き連ねて状況を大袈裟に表現するような感じです。正直、読むのが苦痛でした。2017/06/30

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