出版社内容情報
フランス社会の書記として、社会の全体を写し取る――長短九十の小説から成る「人間喜劇」の壮大な構想を、作家みずから述べた「総序」は、近代文学の重要なマニフェスト。その詩的応用編として、『金色の眼の娘』を併収。植民地生まれの美少女と非情な伊達男の恋は、黄金と快楽、人種と性の交差の中でどこへ向かうのか?
内容説明
十九世紀フランス社会全体を写し取るバルザックの「人間喜劇」。壮大な構想を作家自ら述べた「総序」は近代文学の方法論としても重要なマニフェスト。その詩的応用編として、植民地生まれの美少女とパリ随一の非情な伊達男の恋物語『金色の眼の娘』を併収する。
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本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
yumiha
32
『ゴリオ爺さん』を読了した際に知ったのは、連作or群作ちゅうか、バルザック作品は互いに連関のある登場人物がいてるちゅうこと。印象深い登場人物ならその次作も読みたいと思うのが本好き(私だけ?)の執念。それに応えてくれるバルザック…ではありまっしぇん。バルザックの狙いはもっと壮大で、さまざまな階層の人間を描きながら「社会」の全体像を捉えたいというもの。その作品全体を「人間喜劇」と名づけたそうな。ちゅうことを「総序」で述べておられた。その一例としての「金色の眼の娘」は、特権階級の美青年と魅力的な奴隷娘の悲恋物語2026/08/23
かふ
19
バルザックの「人間喜劇」は有名だけど何が「人間喜劇」なのか、よくわからない。『ゴリオ爺さん』や『谷間の百合』がそうで人物再登場法とかその小説の世界観が各小説に関係してくるテーマがあるというものだ。それはこの本の「序論」に詳しく、言わばバルザックの小説論を表していた。それはパリの風俗をカタログのように分析して階層を分類する(それは自然科学的な手法だとか)。そしてその中で一本の根幹となるのが人間の欲望(金)ということで、「人間喜劇」という博物誌ならぬ標本的なテキスト群なのだった。2026/04/09
テイネハイランド
18
図書館本。「人間喜劇」総序と中編小説「金色の眼の娘」が収録されています。前に読んだ岩波文庫版「サラジーヌ」でも思いましたが、本書もバルザック研究者である訳者による注が詳細かつ丁寧にされていて、注を読むのも本書の楽しみのうちに入るのではないでしょうか。「金色の眼の娘」自体は、訳者がいうように「通俗的なオリエンタリズムあるいは東洋趣味の原色絵具をこてこてに厚塗りして描き上げた絵画と言えそうな中編小説」で、小説そのものの面白さの点では「人間喜劇」作品群の中だと大したことがないかなという印象です。2024/08/14
tyfk
8
「「総序」の次に『金色の眼の娘』の三つの章を置くと、全体は起承転結のある四部構成の読み物になりはしないか」p.2472024/08/18
Fumoh
5
バルザックの「人間喜劇」は人物再登場の手法を用いて、19世紀の(恐らく)七月王政期(1830~1848)のパリ風俗を横断的に描いた作品群です。喜劇とはいいますが、今でいうお笑いではなくて、悲劇的特色のない、自由な形式の作品ということだと思います(悲劇はお決まりの制約がある)。で、このバルザックは当時のフランス文学発展期において、ロマン派とは(一部相乗りしながらも)一線を画する形で、「社会・風俗」そのものを合理的・写実的な側面から描写するという試みを行いました。それについての所信表明演説のようなものが、この2025/03/04
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