出版社内容情報
「毎朝二〇年間も髭を剃っていれば、誰だって何かを学ぶことになる」(リンド)。隣人の騒音問題や犬派・猫派論争から当時の世界情勢まで、誰にとっても身近な出来事をユーモアたっぷりに語る、ガードナー、ルーカス、リンド、ミルンの名エッセイ。約一世紀前の作ながら、その人間性への鋭い洞察は今なお大いに共感を呼ぶ。
内容説明
隣人の騒音問題や犬派・猫派論争など誰にとっても身近な出来事から当時の世界情勢まで、ユーモアたっぷりに親しみやすく語る、ガードナー、ルーカス、リンド、ミルンの名エッセイ。ほぼ一世紀前の作ながら、その人間性への鋭い洞察は、今なお大いに共感を呼ぶ。
目次
1 ガードナー(隣の連中;ノコギリで丸太を挽く ほか)
2 ルーカス(アメリカのヒーロー;渡し場で考えたこと ほか)
3 リンド(髭剃りの教訓;ささいなことを弁護して ほか)
4 ミルン(金魚;最高のフルーツ ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
96
前作「大した問題じゃないが」に続いて行方先生による編訳集で今までにあまり読んだことのない作者(A.G.ガードナー、E.V.ルーカス、ロバート・リンド、A.A.ミルン)のエッセイがいくつか収められています。約1世紀前のエッセイですが、英国人の日常や世界の情勢に関しての小論が結構楽しめました。それぞれのエッセイの後に訳者の行方先生の「さらにお許しいただければ」というコメントが書かれています。ここでは先生の本領である英文の訳などについての説明もあったりします。いい本です。2025/07/13
藤月はな(灯れ松明の火)
54
今回も面白かった。ガードナーの「雨傘症」はありがちな傘盗難・紛失から扱いながらも本については自分もやりがちという懺悔と自虐を同時にするのがユーモラス。リンドの「壊れた眼鏡」の当事者を無視した第三者からの赦しの強制の厚かましさは皮肉たっぷり。ミルンの「丁重に辞退します」は(勝手に)メンバー達の振る舞いが小気味がいいですね。個人的にルーカスの動物愛溢れるエッセーが好き。特に「家庭の守護神 犬」でのペキニーズの子犬がルーカス氏が座り、構ってくれるのを待っている姿を想像するとそのいじらしさに胸がときめくのです。2025/09/03
春ドーナツ
12
前作は2009年に刊行されている。当時は岩波文庫を毎月購入する習慣がなかったので、その存在すら知らなかった。本書を読み終えて、ああ、エッセイって面白いなと感じ、早速、近所の村上書店にお願いすべく、メモ用紙(手渡しするため)に書き込むか? 17歳のころに、とにかく読書を習慣にしようと思った。小説よりも読みやすいので当時は椎名誠さんと原田宗典さんのエッセイ二刀流の時代が続く。経験値が重なるにつれて、日本の身辺雑記エッセイに興味が持てなくなり、遠ざかる。ので。久しぶりにエッセイを堪能する。くまのプーさんの作者は2025/06/29
Cinita
9
イギリス人コラムニスト4名の傑作選その2。政治や世界情勢から好きなフルーツまで硬軟様々な話題を、皮肉なユーモアを交えて語ったコラムはどれも安定して面白い。今回は編訳者の行方氏による解説が付されているので背景情報がわかってより深く楽しめた。ルーカスの「ある葬式」は友への温かな愛情が感じられるいい追悼文だなあと思って読んでいたら、漱石の恩師グレイグ先生へのものだと知ってびっくり!ガードナーの「隣の連中」やリンド「論争好き」など現代でも通用する内容で深く頷いたし、ミルンの「丁重に辞退します」は大いに笑いました。2025/09/28
ハッカ飴
9
これは「イギリス・コラム傑作選」の続編だったのね。最初から読めばよかった。というくらいおもしろかった。エッセイって基本的にあまり好きでなくて、読むことも少ないのだけどしみじみと共感できる箇所がいくつも出てきてなかなか楽しめました。ガードナーの「自分自身で考える」、「自分自身を見る」、リンドの「思うだに震える」などは特に「そうだよ、その通りだよ」などと思いつつ読みました。人間て普遍的なのね。2025/09/16