内容説明
芥川竜之介の全書簡から代表的な書簡百八十通余を収録。芥川の書簡は、その生涯、文学、交遊を知るための第一級の資料であり、芥川文学の「詩と真実」を最もいきいきと伝える作品の一つである。日本近代文学での書簡文学の名品に挙げられる。
目次
1 三中から一高へ
2 『新思潮』と作家への胎動
3 小説家(芥川)の誕生
4 新進作家として
5 職業作家として
6 震災後の新時代を迎えて
7 晩年
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
29
「早く文ちゃんの顔が見たい。早く文ちゃんの手をとりたい。・・・今、これを書きながら小さな声で「文ちゃん」と云って見ました。」 すごくよくわかる。ほんとうにその通りだよ。2015/08/22
内藤銀ねず
21
岩波文庫2022夏の一括重版が発表されたので。タイトル通り芥川の手紙を集めた本なので、奥さんに向けたラブレターとか、初恋の失恋を友人に報告したりとか(それもめちゃめちゃ詳細に)、息子比呂志への絵手紙とか、それはそれは興味深いものがたくさん。ですが私がこの本を買った動機はさにあらず、芥川の短歌が相当数掲載されていたから。芥川は手紙に自作短歌を書くのです。芥川らしい、とてもかしこい歌。秀歌というわけではないけど、作家が詠む歌は貴重。2022/07/05
ホームズ
15
芥川龍之介の書簡集。いきなり「候」とか出てきたからちょっと読みにくいかなって思ったけど結構砕けた感じのもあった(笑)奥さんになる文さんへの手紙がいいな(笑)可愛らしい(笑)作家仲間や漱石にだしている手紙を見るとなんかエネルギーがあるな〜。正岡子規の随筆でも感じたけどこの辺りの時代の人たちってエネルギーに溢れてる。2012/06/11
月
8
★★★★☆(府立三中から一高、帝大、新思潮時代、新進作家から職業作家、そして晩年にかけての時代順に整理された芥川の書簡集。山本喜誉司、井川恭など学生時代の親友へ宛てた手紙、恩師・広瀬雄先生、夏目漱石、塚本文(芥川文)、佐藤春夫、久米正雄、松岡譲、室生犀星、堀辰雄、広津和郎ほか、作家、滝田樗陰などの編集者、その他大勢に宛てた書簡集。その時代の出版物、文壇での出来事に関連するものも垣間見られ、とても興味深い内容だった。各書簡を通して、生の芥川に触れることのできる貴重な一冊でもある。) 2014/02/06
イコ
6
代表的な書簡を抜粋したもの、書簡を全部収録しているのは全集とかで読めるらしい、晩年は力が無くなっているようで弱々しい感じがした。親友たちへの手紙、特に山本喜誉司へは男女の枠超えた友愛を感じ、作家たちとの手紙も興味深い、個々の小説にしか興味無かったので夏目漱石、室生犀星、与謝野晶子、与謝野鉄幹、堀辰雄、谷崎潤一郎、志賀直哉、佐藤春夫等々、と手紙をやり取りする間柄と言うのは驚きだった(谷崎とは晩年やり合ってるけど)。一番は奥さんへの恋文で文豪でも苦難しながら書いたんだろうな、と分かる初々しさ。2024/04/06