出版社内容情報
江戸中期より行方知れずであった『奥の細道』の自筆草稿本の存在が一九九六年に公表された。約七十カ所の貼紙といった夥しい推敲跡をとどめた本文を精細に再現。新たな『奥の細道』への旅にいざなう一冊。[カラー版]
内容説明
江戸中期より行方知れずであった『奥の細道』の自筆草稿本の存在が一九九六年に公表され、書き癖から芭蕉の真蹟であることが明らかにされた。夥しい推敲跡を有する本文をカラー版で再現、校注者による振り仮名を付して翻字を行った。新たな『奥の細道』への誘い。
目次
影印翻字篇
解説1 芭蕉自筆『奥の細道』について
解説2 芭蕉の書き癖
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
105
芭蕉自筆の『奥の細道』が収められた文庫。右ページに芭蕉の自筆、左ページにそれを活字にしたものが載せられている。古語の注釈は一切書かれていないので、やや読みにくいところがあったが、何とか読み通すことができた。何と言っても、芭蕉の自筆を読めるのが嬉しかった。流麗な達筆で非常に美しい。特にひらがなの伸びやかな書き方には感心した。筆を動かすさらさらという音が聞こえてきそうだ。対照的に漢字はきっちりと書かれている。これは芭蕉の律儀な性格の反映だろうか。紙に字を書くこと自体が芸術になることを、改めて実感した。2017/11/26
藤月はな(灯れ松明の火)
84
教科書でさわりと平泉の部分しか知らなかった奥の細道。松尾芭蕉自筆(誤字や書き癖、張り紙による訂正もはっきり、分かる)と照らし合わせて読めるなんて贅沢だな~。そわそわしながら旅支度をし、多くの歌人たちが訪れた地で彼らを想い、俳句を詠んじゃう芭蕉さんが可愛らしいです。そして白河の関の萩と茨の組み合わせを想像すると美しくて溜息が溢れてしまう。後、意外と速いペースの旅なのが驚きました。2017/08/15
姉勤
22
江戸を出て、富士山を望み、みちのくへ、そして北陸へ。健脚ぶりと、数日、いや数年過ごさねば放り出せないような俳句を即速と連ねる頭脳に驚かせる。 指を折るのも無駄なお馴染みの句を添える名所名物の描写。その描写の前文が句の印象を多面的に印象を与える。旅で出会う人々、そして宿を得られぬ旅の心細さも心を動かされる。2021/11/28
るい
5
本書をめくるまで、このような形での推敲が行われていたとは思いもしなかった。推敲したものを清書したのかと思いきや、書きながら書き直し、上に紙を貼るという現代にも通ずる修正をしていたのだと知り、感動した。2018/08/10
Eri Hosoya
4
芭蕉の自筆の奥の細道が読める、というか見られる。芭蕉、達筆です。 誤字脱字や重ね書き、紙を貼って直した箇所、筆跡についても解説があり興味深い。 2021/12/07