出版社内容情報
皇子に生まれ、幼くして母を亡くし、位人臣を極めた光源氏。その数多の恋愛を軸にした世界最古の長編小説を、新日本古典文学大系版を元に文庫化。全五四帖の原文に、最新の成果を盛り込む注解・補訳。桐壺─末摘花を収録。(全九冊)
内容説明
皇子に生まれ、幼くして母を亡くし、位人巨を極めた光源氏。その数多の恋愛を軸に平安貴族の栄華と苦悩を描き尽くした、世界最古の長編物語の一つ。新日本古典文学大系版による精密な原文、最新の成果を盛り込む注解と補訳。桐壺から末摘花までの六帖を収録。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
120
『源氏物語』の原文は簡単に読めたわけではなかったが、それでも思ったりよりずっと読みやすくて、物語自体も面白かった。各章の前に物語の梗概があり、詳しい注もついているのでそれを読めば、プロットは十分に把握できる。自分の好みとは少し違う小説だが、引きこまれるところが多かった。特に「若紫」と「末摘花」の対照が面白い。「若紫」の後半は光源氏が紫の上に強引に言い寄り、家から連れ出そうとするので重苦しい雰囲気が漂っている。「末摘花」では光源氏のユーモラスな恋が描かれており、読みながら吹き出すことがあった。(続きます)2018/06/06
藤月はな(灯れ松明の火)
95
高校以来の再読。正直に言うが、私は光源氏が大嫌いだ。今もそれは変わらないどころか、ますます、「こいつ、本当にキモい!!無理!!」となってしまいました。空蝉を誘拐して強引に想いを遂げて言う事は「こうなるのは運命だったのです」、気を遣って苦しい心境の中、空蝉に逢わせてくれた小君さんに「貴女のお姉さんは情のない人だ。貴女方親族は良い事など起きないだろう」と吐き捨てる、末摘花さんの容姿を茶化すような遊びをするなど、言動が屑。そして帚木での男性陣の女性評への勝手な言い草や空気が読めない桐壺帝の鈍感さにもひいてしまう2017/08/13
syaori
63
これが岩波文庫黄帯の本気!右ページに原文、左ページに行き届いた注解という構成になっていて、私のように日頃古文に親しまない者も原文の香気を味わえるようにという心づかいに満ちています。本巻は桐壺から末摘花まで。若やかで「ゆゆし」いまでに美しい源氏の君は恋の冒険に夢中で、空蝉や夕顔、六条の御息所など身分も境遇も様々な女性たちの間を飛び渡っているばかり。藤壺の妃への一途な思いや、父の天皇や義父の左大臣などをはじめとした周囲の人々に大切に扱われてきた鷹揚さの中に時折顔を覗かせる自負心に危ういものも感じながら次巻へ。2021/04/02
NAO
63
「桐壺」から「末摘花」まで。帝に愛されすぎた桐壺更衣の苦悩、夕顔のもの悲しさといった繊細な心理描写、移りゆく自然の細やかな描写、それらが重ね合わされて、何ともいえない雅でもの哀しい世界を作り上げている。「若紫」では、幼い紫の上の無垢で薫り立つような明るさ若々しさと源氏の下心の対比が見事だ。「末摘花」では頭中将と源氏の恋のさや当てが描かれているが、朝になって源氏が受けた驚きは、どれだけたくさんの女性のもとに通ったかを自慢の種にしている当時の貴族たちを痛烈に皮肉っているようだ。2018/07/31
金吾
34
○久しぶりに読みました。かなり時間がかかりますが、文章は美しくひきこまれる上に登場人物が個性豊かで面白いです。初また期の光源氏の身勝手さはかなりなものですが、時代なのだろうとも思いながら読んでいます。2024/01/04