出版社内容情報
当世和歌の現状に対し歌の意義と本質を問う処女作「排蘆小船」,そこでの〈心に思ふこと〉が「石上私淑言」では〈物のあはれをしる心〉と捉え直され大輪の文学論を開く.生涯秘められた2つの歌論に若き宣長の核心思想がよみがえる.
内容説明
宝暦13年、34歳の本居宣長にはすぐれた二つの歌論があった。だが生涯公表されることなく、筺底に秘めて置かれた。当世和歌の現状に対し歌とは何かを問う処女作「排蘆小船」、そこでの〈心に思ふこと〉は「石上私淑言」で〈物のあはれをしる心〉ととらえ直され一大歌論を切り拓く。合せ鏡のごとく宣長思想を映しだす二作品を併載。
目次
排蘆小船
石上私淑言
1 ~ 1件/全1件
- 評価
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
13
宝暦13年、34歳の本居宣長にはすぐれた二つの歌論があった。だが生涯公表されることなく、筺底に秘めて置かれた。当世和歌の現状に対し歌とは何かを問う処女作「排蘆小船」、そこでの〈心に思ふこと〉は「石上私淑言」で〈物のあはれをしる心〉ととらえ直され一大歌論を切り拓く。合せ鏡のごとく宣長思想を映しだす二作品を併載。 (カバーより)2014/06/24
tyfk
6
小林秀雄『本居宣長』で『あしわけ小舟』の引用がカタカナ表記で読みにくかった(ので斜め読み)が、この本はひらがな表記で読みやすい。和歌の歴史についての話も面白い。参照先のページを鉛筆で記入。2024/02/23
零水亭
5
(政治思想以外は)尊敬する、中国文学の泰斗、吉川幸次郎氏がベタ褒めしているので、本居宣長読んでみようと思って、2013年頃(ちょうどリサイクルブックとして売っていたこともあり)購入して読みました。読み通せはしたものの、理解するには、古今和歌集とか諸々の古典をよく読み込まないと…と感じました。
飯田真人
3
あしわけおぶねのみ読了。歌はありのままの心を唄うもの。ただし、それでは歌となり得ないので、言葉で歌を飾る。そうして古語に触れていくことによって、古の心でそのまま読むことができる。2024/09/25
山がち
1
なかなか刺激的なことを言うなあとは思ったけれども、国学者に対してはわりとそういうイメージを持っていたのでさほど驚きではない。古今伝授をばっさりと否定して見せるあたりは痛快ではあるが、現実にはある程度は古今伝授の正当性を認めた方が良いのではないかと思うことも少なくはない。確かに貫之の説というのは問題があるが、古今集の講釈自体は王朝時代辺りから行われているわけで、まったく伝統がないわけでもない。また、あくまでも二条家の勅撰集を重視し、京極派の勅撰集を異風として退けているあたりは堂上の影響を免れてないのだろう。2014/03/11