岩波文庫
民衆の芸術

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  • サイズ 文庫判/ページ数 194p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003420126
  • NDC分類 704
  • Cコード C0170

出版社内容情報

19世紀のイギリスの詩人であり,工芸美術家,社会主義者である著者の講演集.「民衆のための,民衆による芸術」をモットーとする彼の論述は資本主義社会の悪を指摘し,民衆の生活から遊離した少数の職業的芸術家は資本主義社会の一産物に過ぎないとし,労働者の日々の労働のうちにこそ美の喜びは生まれていかねばならないとする.

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

松本直哉

25
民衆と芸術は相容れないはずという偏見をまず捨ててみよう。中世では民衆こそが芸術家だったという著者の主張は、所詮は世間知らずの理想主義のお坊ちゃまの寝言だろうが、民衆と芸術がなぜ乖離したのか問うのは有益かもしれない。機械文明の奴隷となり労働から疎外された民衆の手に、いかにして芸術を取り戻すか。手仕事の喜びと十分な余暇を通じて、日常生活そのものが芸術となることを望むとき、必然的に、社会における階級の不平等への懐疑が生れる。彼がマルクスの同時代人であり英国の貧民層の苦境に無関心でいられなかった事実を思い出させる2024/01/27

サイバーパンツ

8
アール・ヌーヴォーの起源とも言えるアーツ&クラフツ運動を主導したモリスの思想を概観できる一冊。産業革命以後の大量生産による労働に対して、それ以前の手工業の美しさ、ものづくりの喜び、生きる意味を与え日々を彩る労働=芸術による人間性の回復を説く。日本においては、柳宗悦の民藝、芥川龍之介の芸術至上主義、宮沢賢治の農民芸術などへ影響を与えており、現代では岡本太郎や小沢健二もこの系譜にいるように思う。2019/12/04

かもすぱ

7
19世期後半の芸術的社会主義についての講演や論文集。著者のモリスは、工業化が進んで粗悪な製品が出回っていた当時の英国の生活に、手仕事の芸術を取り戻すアーツアンドクラフツ運動で知られ、のちの柳宗悦の民藝運動にもつながる(らしい)、ということで手に取った本。肝心の本文は、講演をそのまま文章にしたのかめちゃくちゃ読みにくい。内容も社会主義の行く末を知ってるだけに、空回りしている部分が多い。ただ手仕事の喜びと芸術の結びつきは一貫していて、極め付けに「手仕事でゴテゴテのゴシック建築最高!」てなったのは納得。2020/10/11

孤独な読書人

5
芸術論かと思いきや内容は、共産主義とモリスが目指す真の芸術(民衆の芸術)との関係性を主張したもの。講演のため論理性というよりか、自分の論に引き込もうとするアジテーションの側面が強い。ただ一周回って現代の格差社会にも通じる論点があるかなと思う。2021/10/06

Yoshi

2
アーツアンドクラフトの原点、ウィリアムモリスの民衆の芸術を通読。 社会主義的、マルクス主義的な機械よりも手仕事で日々作るものが日常生活を芸術に結びつけ資本家よりも労働者の中に芸術がある、といった話をしている。 個人的には社会主義、マルクス主義は上世代の物なのでそんなうまくは行かなかった歴史を教科書的に知っており、そういう中で資本主義を目の敵にするその理由がどこにあるのかを見るのには面白い本だった。 ラスキン、モリスときて日本では民藝運動へ繋がっていく。2024/07/08

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