出版社内容情報
「統治形態は選択できるか」というテーマではじまる本書は,ミル(1806-73)が,政治理論,政治制度にかんする多年の思索と研究にもとづいて,代議制統治が最善の統治形態であることを立証しようとしたもの.多数者の暴政に警告を発している点は大変興味ぶかい.イギリスの政治構造を実証的に分析した最初の包括的研究でもある.1861年刊.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
34
現在の議会政治や多数意見による少数派の押し潰しへの警告、有名人を無闇に登用するリスクを提示した本。だが貴族階級第一としているためか、如何せん、古い。特に「専門性のある知識を有する者が世襲的に政治を運用すべきだ」は今までの概念を変える風潮が台頭してきた時や次世代が必ずしも親と同じになるとは限らないことを考えていない。現在、日本で起きている、言葉の重みを軽んじて権力の取り合いに必死になる政党、野次が悪趣味な娯楽化した議会、都市部や大企業志向が目立つ政策、中立性が疑われつつあるメディアなどを考えると時代遅れだ。2014/09/21
鏡裕之
3
知識と徳を持つ人こそが参政権を持つべきだ……と考えていたミルの代議制統治論。非常に滑舌の悪い文体。訳者が悪いのではない。ミルが悪いのだ。代議制は文明の進んだところ、徳育のある国民がいるところでこそふさわしいというミルの主張に、ヨーロッパ的(あるいはイギリス的?)エリート主義の匂いを感じる。所詮、19世紀的知識人。あまり読む価値はない。2013/12/09
あだこ
2
訳文が冗長なのはさておき。自由論でみたような普遍性はなくて、啓蒙主義が盛り上がる。2008/12/05
デンプシー
1
160年前に書かれたとは思えないほど、現在に通用する議論・考察を行っていることに驚いた。一方で、政治の役割や行政の民主的統制、等級選挙や秘密投票についてのミルの考え方は、確かに論理的にはそうかもしれないが現代に適用するのは難しいかもしれないと思うこともしばしばあり、当時と現在の社会の変化や政治への力点の置き方が変わったものだと実感した。彼は度々公共精神の涵養について言及していたが、その中でも特に地方政治の議論は有用だと思う。ミニパブリックスがパッと思い付くが、実際のところはどうなんだろう。2023/03/07
sekaisi
1
今ではとても言えないようなことも妙に納得してしまう。2017/12/07
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