内容説明
政治はつねに権力闘争である―。戦争の恐るべき潜在力をもつ国際社会に平和をもたらすことは可能か。恒久平和のための国際共同体樹立に向けて、外交は何をなすべきか。絶対的勝利と絶対的敗北をともに避けつつ、説得・妥協・圧力によって国益を調整し平和を勝ちとる、その外交の真骨頂に迫る国際政治学者モーゲンソーの古典的名著。
目次
第8部 平和の問題―制限による平和(軍縮;安全保障;司法的解決;平和的変更;国際統治;国際統治―国際連合)
第9部 平和の問題―変革による平和(世界国家;世界共同体)
第10部 平和の問題―調整による平和(外交;外交の将来)
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
26
第23章は、大事な大事な、軍縮(アタックチャ~ンスではないです)。軍縮とは、軍備競争を終わらせるために、一定の軍備ないしすべての軍備を削減、廃止すること(18頁)。戦争に近づいていくのは、戦争を他の悪より小さい悪だと思わせる、人間の心のなかの状態である(54頁)。ならば、戦争心理学が国際関係論では重要な分析位置を占めるのではないか。軍縮が戦争を起こしやすい政治的緊張を緩和できる(60頁)。ここに一縷の希望がある。2015/09/28
Koning
23
下巻は平和の問題ということで軍縮条約や国連の問題あれこれ。神聖同盟を引き合いにされるとやはりうん、説得力ありすぎます(笑)。巻末の監訳者による解説を読んでから再読するのが吉という感じ。なので、またこれもほとぼりが冷めた頃に読み直そう。2015/10/10
ヒロキです
19
この章では平和を主軸として、まず一部から支持されている世界国家の展望についてリアリズムの観点から否定的に捉えてリアリズムを牽制し、ユネスコに代表される異文化交流や理解によって思想や知識が世界中の人々に共有され啓蒙されることで世界は平和になるという意見に対しても断固として批判していた。このことは、デモクラティクピース論やコントラクティズムへの批判とも読み取れた。その上で妥協説得軍事を手段とする外交にモーゲンソーは将来をかけるのであった… 国際政治学が好きな自分にとっては最後まで面白かった。また読みたい。2020/03/21
Francis
16
名著ようやく完読。感想をまとめるのは難しいが、これはとても役に立つ本。日本では未だに国際政治を坂本義和氏のように理想主義的なアプローチからとらえる人がまだいるのだが、それでは駄目なことがよく分かる。ただし、モーゲンソーも逆説的な語りながら世界国家、世界共同体の実現を願っていた。ただしその実現は簡単ではなく実現のためには彼一流のリアリズムを効果的に発揮しない限り実現は出来ないと言っているのである。2019/09/05
Ex libris 毒餃子
11
上中下読了。最後は外交を通じての平和への道を論じていた。カーが現実主義よりの理想主義だったので、モーゲンソーは理想主義よりの現実主義に感じた。2022/01/18
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