岩波文庫
人間の義務について

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  • サイズ 文庫判/ページ数 213,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003402719
  • NDC分類 151
  • Cコード C0131

出版社内容情報

イタリア建国の志士マッツィーニ(1805-72)。権利に先立つ義務を説き。祖国を共同体の意識ととらえて国家統一を唱えた。男女平等・教育重視、人類の進歩とヨーロッパ統合等、今日なお新鮮に響く19世紀の思想書。

内容説明

イタリア建国の志士マッツィーニ(一八〇五‐七二)。権利に先立つ義務を説き、祖国を共同体の意識ととらえて国家統一を唱えた。男女平等、教育の重視、人類の進歩とヨーロッパ統合等、今日でも新鮮に響く思想書。

目次

イタリアの労働者の皆さんへ
1章 序文
2章 神
3章 掟=法
4章 人類に対する義務
5章 祖国に対する義務
6章 家族に対する義務
7章 自分に対する義務
8章 自由
9章 教育
10章 社会的結束、進歩
11章 経済の問題
12章 結論

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

22
日本では当たり前のように「権利」が主張できる。しかし、その「権利」を手に入れるまでは先人たちによる「権利」を述べることができる自由の獲得への苦闘があったことを忘れてはいけない。そして社会において「権利」を申し立てるには「義務」を果たさなくてはいけない。現在から読むと、キリスト教徒にしか通じない倫理観の押し付けや啓蒙主義や性善説者特有の傲慢さは鼻につく所もあります。しかし、「権利を求めたり、義務を果たすために必要な倫理や道徳を得るために教育が必要となる」については同感します。2015/02/01

ロビン

20
近代イタリアリソルジメント運動において、カヴール、ガリバルディとともに三傑と呼ばれる革命家マッツィーニの思想書。「神」(キリスト教の神ではない)への信仰をもとに人類、祖国、家族、自分に対する「義務」を説き、労働者の貧しさを解決することとともに、「自分は自分のためにある」というエゴイズムを克服し、物質主義の幸福はあくまで手段として「よりよい人間になること」を目的とした国民国家を目指した。自分のためを思えば、「人類」という大きな「兄弟」のために生きるべきであるという思想は『立正安国論』の思想と響き合っている。2021/03/02

うえ

8
「人間の存在を成り立たせている要素のなかには、宗教、自由、社会的結束など本書で挙げたものの他に、所有もあります。所有の原理、その起源は人間ならではの特徴にあり、個人が維持しなければならない物質的生活の必要に根ざしています。個人は、宗教、科学、自由を通じて精神的、知的世界を変革し、向上させ支配するよう求められているのと同様、物質的な仕事を通じて、物質的社会を変革、向上させ、支配するよう求められているのです。そして、所有はそのあらわれです。…でも、その所有を管理する方法は…変化する可能性をもっています。」2021/04/24

ラウリスタ~

6
統一イタリア成立前後の雰囲気を知るためには重要な書。労働者に向けた啓蒙的な内容で、話されている内容は現代からすると非常に陳腐。それでも今では陳腐になるほど普及した考えのその出来始めを見る事が出来るかもしれない。その発展史観の純粋さには驚かされる。キリスト教にも同様に進歩を求めつつ依拠する微妙な姿勢がちょっと他と異なる。啓蒙の世紀らしい作品。2011/07/01

ふぇるけん

6
権利ではなく義務を果たす、人類全体を視野に入れて行動する、法は『犯さない』ではなく、『積極的に従う』など、人間の存在意義は社会全体を良くすることと定義している。これは震災直後の我々にもあてはまり、ここ最近のTVで流れている『思いは見えないけど、思いやりは見える』の思想に通じるものがあるなぁ~と感じた。2011/04/06

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