出版社内容情報
永遠の命とはなにか。不死の〈火の鳥〉を軸に、人間の愛と生、死を、壮大なスケールで描く。天才手塚治虫が遺した不滅のライフワーク。各巻カラーイラストの表紙、巻頭に十六頁カラーを掲載。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
118
子供の頃から繰り返し読んでいる「火の鳥」の6巻目。この巻はSF色が強い。エデンと呼ばれる星に移住したロミの地球への望郷の思いを描く。物語の中で気の遠くなるような時間が過ぎていくのが特徴で、こういった時間の流れは主流文学では表現しにくいだろう。時の流れに対して人間は無力であり、だからこそ不死をもたらしてくれる火の鳥に皆取りつかれるのだ。いつもながら登場人物の描き方がうまいと思う。この巻では特にけなげなコムが良い。結末は重く、悲しいがこれ以外のものは考えられない。2015/02/12
can
35
火の鳥全作の中で、火の鳥が最も人間の世界に介入したという印象の作品。恋人と二人無人星にたどり着き、そこで幸せに暮らすはずだったロミは、恋人をいきなり失う。彼女が選んだ道は、星を反映させるため自分を冷凍保存し、自分の子供と結ばれるというものだった(ロミのど根性)。不毛の地でそれを何度繰り返しても、女の子が生まれない。そして火の鳥が力を貸し、見事繁栄を果たすが…コムとロミの地球へ帰る旅は読んでいて悲しくなる。幸せな結末ではないことが分かっているが、それでも地球に帰りたい。最後の星の王子さまの引用にジンとくる。2016/08/11
スター
34
面白かった。遠い未来。他の惑星に新天地を求めて地球を飛び立ったカップル。が、そこでは思わぬ展開が待っていた。2023/01/31
田中
32
宇宙開拓時代に現実に起こりえそうな怖さが毎回あります。未知の世界だからこその期待と不安と恐怖、人喰い星は薄気味悪かった。2014/08/12
ふじ
24
望郷編。ついに地球外の話しになったか。未来、人口増加の解消のために地球の開発はおろか宇宙移民が行われた時代の話。巻末の新井素子さんの解説に納得。火の鳥は読めば読むほど、永遠の命なんていらない、となる。永遠につきまとう耐えきれない孤独があるから。2018/10/22