出版社内容情報
イギリスが近代市民社会へと変革を遂げつつあった17世紀後半の指導的思想家ロック(1632‐1704)の哲学上の主著である.彼の政治,経済,宗教,教育など多岐にわたる著作の根底にある近代合理主義は本書において哲学的に深められた経験論的認識論として実った.18世紀ヨーロッパ思想の主流イギリス古典経験論の基礎的著作.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆうきなかもと
10
《「しかし」は、私たちの言語でこれ以上なじみ深いもののない不変化語である。》 本書では、名詞がいかに不安定な、発言する人によって意味が変わり、また聞き取る人によって意味の変わりやすいものかを論証している。冒頭にあげた引用部分はその途中脱線的に挿入された部分からの引用だ。 何か不思議な気がした( ・_・) ジョン・ロックのこの指摘は、予備校講師の出口汪氏などの参考書でも指摘されていることだ。2016/01/30
しんすけ
6
第三巻に至ると「不思議な本だ」と云う独言をつい口走ることが、正直なところ多くなってしまった。全体概要は納得できるのだが、所々でロックが語る確信的発言に首をかしげる回数が増えてくるからである。言うなれば、解決不能な問題を解決に至らしめようとして、神がかりな言質が所見されるのである。ニュートンを生み出した17世紀という時代だが、ニュートンが錬金術師でもあったことを鑑みればそれも止む得ないことかもしれない。2017/03/06
ちゅん
1
感想は4巻目に書きます。2019/04/27
ppp
0
やっと精読完了。第二巻の後半部で、徐々に主題が知識に向かう途中で、言語の問題が取り扱われる必要性が如実に出てくる。そして第三巻の言語論へ。大槻さんの章区分の明晰さが窺われる。個人的には、「実在的本質(real essence)」が絶えずひっかかった。この概念だけ、明らかに観念説の枠組みから遊離すると同時に、観念の発生の根源を担うものだからだ。実在的本質についての根本的無知と、まさに実在的本質である一次性質を物質論に含める緊張関係も気になる。直接実在論解釈、バークリの議論を視野に、今後の問題意識としたい。2013/12/19