出版社内容情報
法・政治思想史上の大古典として著名なモンテスキュー(一六八九―一七五五)の『法の精神』(一七四八)は,三権分立論で有名だが,近年では,法社会学,比較法学,法学史の先駆的業績として注目を浴び,法と社会の多角的な分析に,さらには異文化間の相互理解に貴重な示唆を与える書として高い評価を得ている.詳細な訳注を付した完訳決定版.
内容説明
アメリカ合衆国憲法をはじめ諸国の法・政治思想に多大の影響を及ぼした三権分立論を含む上巻(第1・2部)に続き、本巻では、古今東西の豊富な資料に基づいて風土とさまざまな法律との関係を考察し、風土的決定論として名高い第3部と法律と商業・経済との関係を論じた第4部を収める。初の完訳決定版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かわうそ
48
暑い地域に住んでる人たちは怠け者になりやすく、性欲が強い。一方で寒い地域の住民は活発であり勇敢であるといったことを大真面目に記してあるのがこの本の面白いところ。実際にそれが正しいか正しくないかは置いとくにしても、近年では科学的な根拠のみに基づく見解は多いのだがいかんせんそれだけだと面白くないし科学がすべてを解き明かせるというのは科学によって否定されている訳です。 また、独創的な思想というのは時には斬新な前提が必要となりますが、やはり人間が一から考え抜いた思想というのは面白いですし不思議なパワーがあります。2023/05/05
Hiroshi
4
中巻は23編まで。実は全巻で1~6部までに分かれている。無題だったので書かなかった。題をつけるならば①法律・政体について、②国家の存続と政治的自由、租税、③風土の影響、④商業について、⑤宗教について、⑥法律の起源と変遷、となる。中巻は③と④。③様々な風土の下では精神の性格や心の情念が極端に違っているので、法律も精神や心の差異に相関的である。北方の住民は多くの生気を持ち、身体は大きいが敏捷さに乏しく、快楽に対する感受性は殆ど持たない。それに対し暑い地方の住民は諸器官の繊細さから魂は両性の結合に感動を受ける。2022/09/20
ヒデアキ
3
中は第三編(風土と政体及び法律の関係性)と第四編(商業と政体および法律の関係性)の二部構成。歴史を比較分析し、普遍的な法則を見出そうという営みは氏の思考のスケールの大きさを感じずにはいられない。ローマとギリシアが偉大な文明であることを思い知らされる。2022/11/03
有沢翔治@文芸同人誌配布中
3
モンテスキュー『法の精神(中)』読み終えた 1.人口と経済の話がメインで、そこから商法について。 2.物価が上昇するメカニズムは新製品・新技術が開発さた時しか説明できていない 3.現実的貨幣と観念的貨幣とは経済思想として、あるいは分析哲学としても面白い? 4.長い!https://shoji-arisawa.blog.jp/archives/51522360.html2022/01/01
hirotada_k
1
正直日本やアジアの記述についてはここまで適当なことが書けるものだという感しか抱かないのだが当時の東洋←→西洋の交流の状況や彼が依拠した資料に照らせばやむを得ないのだろう。前記以外にも現在から見ると??と思ってしまう箇所が非常に多いのだが法を気候・慣習などから解き明かそうとする視点がすごい、スケールも非常に壮大。2015/03/19
-
- 和書
- 第五共和制 文庫クセジュ